獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200501-66

自由に食べて良い時とダメな時
投稿日 2005年1月20日(木)18時40分 投稿者 りんママ

Tママさん 犬育ては楽しいですか?

>私にだけは「取られる」と思ったりせずにいてほしいということなんです。

「良いこと」と「悪いこと」の2者択一が基本です。
必要性のない命令や複合的なケースバイケースの判断を求めると犬を混乱させてしまいます。
また、自分の犬はこうあって欲しいという理想や願望が強過ぎると、有言無言のプレッシャーを犬に与えてしまうことになり、飼い主の側でもリラックスできない犬になります。

>私が別の用事でも近づくだけで体を固くしたりせずに

体を固くするということは、身構えて緊張すると言うことですか?
どうしてだと思いますか?
わんちゃんは、ママの事をどう思っていると思いますか?

言葉通りの態度であれば、犬にストレスが掛かっているようにも感じます。
ママは怖い存在で、まだ信頼関係が築けているとは言えないかもしれませんね。

>道で突然食べ物を見つけたとき、私が先に気づけなかったときなど
>「食べてるときはそっとしておく」だけでは、これは学べないと思うんです。

【自分の食餌として貰ったモノは自由に食べて良いが、それ以外は勝手に食べてはいけない。】

拾い食いや盗み食いをさせたくないのであれば、大好きな骨も食べて良い時といけない時があることを理解させることです。コマンドで命令するのではなく、理解させるのです。

その為に、状況を理解させる為には、お散歩時に骨を使って練習をすべきですし、室内にわざと骨を置いて教えるべきでしょう。
その際には縦にも横にも慌てても飲み込めない大きさの骨を使って下さい。
でも、食餌として与えたのであれば、その時は落ち着いて自由に食べさせてあげてください。

犬に食べて良い時と悪い時の状況が理解出来るようメリハリが必要です。
今のやり方は、「食餌として貰ったモノも自由に食べてはいけない。」のですから。

>骨でできるようになれば他のものもきっと大丈夫でしょうから。

これは、方法としては逆です。
他のもので完璧に出来てから仕上げに骨でトライです。
しつけをする場合には、最初からイヌにとって最高のモノは使いません。
最高のものには、執着心も強いのですから、最初からハードル高く最高のモノにトライさせるのは好ましくないです。

食べることに執着があるのなら、最初はあまり執着のないモノを食べている時に口から出さして、もっと良いモノを実際に与える方が、犬にトラウマを与えずに済むのです。

しかし、今のしつけ方は骨が最高のものなのですから、これ以上何のメリットも喜びもありません。
むしろ、Tママさんから嫌なことをされている行為の事実だけが心に残るのです。
そして、骨をママが取り上げるかもしれないというマイナス感情がインプットされていますので、その信頼を回復する必要があるでしょう。
繰り返しますが、骨を食べても良いと与えた時には、口から出させたりせず落ち着いて食べさせてください。
それ以外(拾い食い、盗み食い)は、ダメだと理解させるのです。

良い関係を築くには、無理強いや押しつけにならないことですが、

1.飼い主がしたいこと
2.飼い主が出来ること
3.飼い主が出来ないこと

A.犬がしたいこと
B.犬が出来ること
C.犬が出来ないこと

犬も飼い主も出来ることから始めるのが肝要です。
犬が出来ないこと以上に飼い主が出来ていないことも多いです。
時間をかけても、最初のハードルは低くです。
覚えが早い子は忘れるのも早い気がしますので、忘れさせない為には反復学習も必要ですね。
覚えるのに時間がかかっても、焦らず気長に繰り返すことです。

犬は飼い主を選べませんが、自分のボスは選ぶのです。
ボスは、自分を守ってくれるけど決して嫌なことはしません。

「犬が私に何を感じ、何を期待をしているか。」を理解する事も大切だと思うのですね。

過ぎていく日々では気がつきませんが、犬と暮らせる時間はとても短いです。
それに気が付くのは、犬が老いたり、逝ってしまった時です。

しつけも大切ですが、犬と一緒に楽しく過ごすには心の余裕も必要です。
日々を楽しく暮らせますように。

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