獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200504-52

骨頭切除について
投稿日 2005年4月24日(日)18時11分 投稿者 久美子

獣医師です。
 動物では 大腿骨脱臼の処置で骨頭切除が適応となるか否かという質問にたいしては 少なくとも犬やネコでは適応になるというのが答えだと思います。
 手術が首尾良くいって骨頭がきちんと切除されれば 大型犬をのぞいては 傍目からはどちらの脚を手術したのかわからないくらい快復します。
 脱臼してすぐに麻酔をかけられる状態であれば 麻酔をかけて非観血的(切らずに)に整復を試みるのが妥当でしょうが (このとき上手くはいってもかなりの確率ですぐ再脱臼するようです)交通事故で 骨盤も損傷しているような状態では すぐに麻酔をかけるのはためらわれます。
 少なくとも脱臼では死ぬことはまれですが 骨盤臓器や 骨折時の内出血がどれほどか把握できない時に麻酔をかけてそれが原因で死んでしまっては本の子もないからです。
 診断した獣医師の判断で3日間おいたというのは特に責められる治療とは思いません。
 また 骨盤骨折の状態や 脱臼の程度によっては最初から非観血的整復が適応とならない場合もありえます。
 脱臼から時間がたった場合は やはり観血的(切って)整復となりますが この手技のひとつに大腿骨頭切除術という方法があります。もちろん 関節を温存するかたちでの整復がベストですが 骨盤骨折を伴っていたりすると 高度なテクニックや 器具が必要で 時間もかかる手術になってしまいます。
 骨頭切除は 比較的安全に短時間で実施できるという利点があり 予後もそれほど悪くありません。
 獣医師の友人たちと 「動物たちが ここ一番というときにだけ ほんの数秒でも口が利けたらどんなに診療は楽だろう」
 と話したことがあります。一般の臨床獣医師たちは 当事者がしゃべれない状態で 実にさまざまな事態に遭遇し 治療にあたらなければなりません。
 わたしの病院でも 昼にウサギの抜歯をし 夜に犬の帝王切開をやり つぎの日にはハムスターの耳の腫瘍を摘出する。なんてこともあります。
 人間のお医者さんでは考えられないでしょう。股関節を手術するのは外科でも整形外科の先生ときまっていると思いますし 他の科の医師は手は出さないのではないでしょうか。
 きりママさんの御愛犬も 整形外科に非常に長けた名人級の獣医師なら 可能性として関節を残せたかもかもしれません(あくまで可能性ですからだれがやっても無理ということはおおいにあり得ます)が そういう整形外科の専門医のような獣医師はどこにもここにもいるということはないのです。
 私が読ませていただいて きりママさんの主治医の治療に矛盾は感じませんし 最善をつくして治療にあたられたと信じます。

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