獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200506-132

reトイレのしつけ
投稿日 2005年6月29日(水)22時31分 投稿者 はたの

横レス失礼。

海が好きさん、いい線までいっていますがちょっとだけ考察が足りません。

>原理は「成功したらその場で褒めることで学習させる」こと

 なのはその通りです。
 しかし、
>「できるだけ自由にする」
 と
>「初めは居場所を制限して覚えさせた方が
成功回数(=褒める回数)を増やすことができるので早く覚える」
 は、微妙に重なりつつズレているんです。

 少し詳しくみていきます。
 「最初は」つまりその習慣が確立するまでは、ということですが、成功確率を高く設定するほうが効果的なのは確かです。
 しかし、サークル内ですと、「トイレ=ほめられる場所」に対して、「非トイレ=ほめられない場所」の《広さとバリエーション》が不足します。弁別訓練が不足します。

 理想的には、初期には、「サークル内全面トイレで常にほめられる」、
次に「トイレ/非トイレがわかりやすい」
最後に「多様な環境中のトイレ」
 と設定するのがいいのです。
 
 しかし、こうした段階的な移行は手間です(アズママさんは実行されていますが)し、テクニカルにも簡単ではありません。
 また、トレーニングは、「できるようになったら常にできる」ものでもなく、失敗がつきまといます。ですから、トイレを覚えるまでに多少時間が余分にかかるとしてもその分は「覚えた後での失敗」に覆い隠されてしまうので、それへの飼主の覚悟コミコミで、「理想的に設定するのが困難で、どこかを省くとすれば」、多様な弁別刺激を最初から用意しておく

>それがあってこそ「床はトイレじゃない」と覚えていくのです
 
 を企図するほうが、均してみれば得策なのです。
 
>(もちろん「床に粗相されるのが耐えられない奴が犬なんか飼うな」という意見もある
>かとは思いますが)

 ここが、「という意見もある」という以上に大切なのです。
 「寝ぼけて」失敗することもありますし、吐く場合にはトイレほどのしつけは期待困難です。老化や病気で失敗するようになるのはふつうです。
 責任をもって終生イヌを飼うということは、老いて上下垂れ流しになってもなお愛し、粗相の小言を言うのではなく、《どこであろうとも》出して、厳密には《出せて》、不快が減じて多少とも気分がよくなったことを喜ぶ、という覚悟が要ります。糞尿やゲロで汚れた老犬の体を温かい濡れタオルで拭く、というのは、当然覚悟しておかなくてはいけないことなのです。床なんかどうでもよろしい。
 初めてイヌを飼った場合に一足飛びにその覚悟を持つのはたやすくはないかもしれませんが、ヒトの側の訓練の手始めとして、どこでされても文句を言わず、いいウンチをしてくださったこと、いいオシッコをしてくださったこと、つまりはイヌが健康でいてくれることに《常に》《まず》感謝する、というのはきわめて適切だろうと思います。
 子犬時代は短いし、健康な成犬自体も決して長くはありません。
 遠からぬ将来に、「どこをどんなに汚してもいい、一日でも幸せに長く生きていてください」と祈る日々が訪れるのですから。

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