獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200507-39

Re:おっぱい(親の免疫)とワクチン、散歩デビューの時期
投稿日 2005年7月8日(金)04時20分 投稿者 パールちゃん

えむさんへ。

離乳時期は母犬が決めます。「おっぱい痛いわぁ。乳歯で噛まれるし爪でひっかかれるし、我慢できない痛さだわぁ。わたしのベビーたち、もう離乳食食べてるし、そろそろ母乳終了ね。ふぅ、やれやれ・・・え? 飲みたいの? 困った子ねぇ、ちょっとだけよ。うっ、痛いっ。やっばりダメっ。もう、おっぱいは卒業しなさいっ」 そういうやりとりをしながら、母犬はおっぱいを与える回数が減り、仔犬がおっぱいを求める回数が減り、そして完全に離乳します。これが自然な流れです。
この自然な離乳において母と子の間で社会化学習が行われます。母犬はおっぱいを欲しがる仔犬を邪険に扱います。吸いついている子を振り払って立ち去ったり、ウゥ〜と牙を見せて威嚇したり、しつこい子に対しては軽く噛みついたりします。仔犬は大ショックを受けます。初めて経験する「我慢」です。なんでも思い通りになるわけじゃない、欲しいものがいつでも手に入るわけじゃない・・・昨日書いた腰振りへコへコ遊びといっしょですね。自分の主張が通らないことがある、この世には「他者」が存在していて、その主張を受け入れなきゃいけないときもあるんだ・・・(自然な)離乳はそれを教えてくれる機会です。1匹仔だったり兄弟のなかでいちばん体格が大きかったりすると遊びを通じての社会化は中身の濃いものにはならないことがあります。なんでも思い通りになっちゃうから。その点からも、離乳という社会化学習をするとしないとで大きく違います。兄弟遊びよりも離乳のほうが社会化学習の比重は重いと私は我が家の経験から思います。自然な離乳はとても大切です。
なのに、離乳じゃなく断乳させられて商品になる子が多いのが現実。そういう子は買われたあと、しつけと称してさまざまな我慢を強いられる。そんなことすぐできません。小学校に行ってないのにいきなり中学の勉強をやらされるようなもんです。母犬がするようにゆっくりじっくり世の中というものを教えてあげなきゃね。

離乳の意味の話が長くなってしまいましたが。。。

母乳からの移行免疫は授乳の初期段階で獲得されます。授乳開始約4日目から数日間のうちに出る初乳に移行免疫が多く含まれますので、この間にちゃんと母乳を飲んでいればママから免疫をもらったことになります。
ママからもらった免疫が効いているうちはワクチンを打っても無駄になります。ママからもらった免疫が消失するのには個体による時間差があります。消失が早い場合、生後約6週で免疫が切れてしまいます。だからそのころに第1回ワクチンを打つわけです。でも、もしかしたらまだママの免疫が効いていてワクチンが無効かもしれないのでさらに第2回ワクチンを打ちます。ワクチン2回でほぼ安心ですが、ごくまれにママからの免疫が3ヶ月近く効いていることがあるので念には念を入れる場合は第3回ワクチンを打ちます。以降は年1回のワクチンで免疫力を持続させます。
初乳を確実に飲んだ、第1回ワクチンを済ませて約2週間過ぎた、それなら生後2ヶ月で引き取ってもまず病気の心配はありません。ただし、不特定多数の仔犬がいる繁殖犬舎やペットショップから迎える場合はそこの衛生状態や伝染病感染犬がいないかどうかに注意深くあるべきだと思います。
迎えた仔犬を外の地面に降ろしたり他の犬と挨拶させたりするのは第2回ワクチン(生後10週時)、慎重になるなら第3回ワクチン(生後14週時)を打って2週間(接種後の要観察期間)過ぎてからにしたほうがいいと思います。つまり、青空の下を歩けるのは早くて生後3ヶ月、遅くて生後4ヶ月です。ご心配のように第二の社会化勉強をするのにこれだとちょっと好機を逃してしまいます。だったら、抱っこで外出すればOKです。外の世界を見せる聞かせることを目的としてお散歩デビューの前に抱っこ外出デビュー。神経質な子にさせないためには最初が肝心。走る車や大きな音に仔犬がビクッとしても「怖かった? 大丈夫?」とフォローしないほうがいいです。それをすると外の世界は怖いと思わせてしまうので。車の危険などはあとになってから教えられますから、まずはリラックスして抱っこ外出から始めてみてはどうですか。

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