獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200509-38

Re:悩んでます
投稿日 2005年9月8日(木)02時14分 投稿者 パールちゃん

なかさんへ。
生後60日の仔犬って人間にたとえると3歳児くらいです。想像してください。親の庇護のもと兄弟たちといっしょに暮らしていた3歳児が急に他家にやられ朝から夕方まで誰もいないなか独りきりで長い時間を過ごさなければならない・・さみしいです、不安です、怖いです、3歳児は一日中泣くでしょう。それと同じでヒロくんは一日中鳴くんです。
けれど、たいていの仔犬はそういうつらい試練を乗り越えて成長します。言い換えると、仔犬はそういう試練を乗り越える力をもっています。その点では人間の幼児よりもずっと早く独りきりでいることやいい子で家族の帰りを待っている子になることができます。

いつも誰かがいて目配り気配りをしてあげられる環境に仔犬を迎えるのが本当は理想です。でも、そうではなく、なかさんのお宅のように昼間は誰もいないが仔犬を迎えたという状況はよくあることです。さて、どうしたらいいか・・
まず第一に、さみしさや不安から留守中に鳴くことを困ったことだとは思わないでください。鳴くしか気持ちの訴えようがない仔犬の心を理解してあげてください。そして、いっしょにいられる夜間や休日にはめいっぱい相手をしてかわいがってあげてください。「この人たち好き、このおうち好き」、そう思うことが仔犬の昼間の不安を軽くしていきます。今、なかさんにできることは2つです。仔犬をかわいがることと、ご近所から「うるさい」と苦情がこないようにきちんと挨拶回りをしておくことです。

でも、実はあと1ヶ月は親兄弟といっしょにいさせるほうがいいんです。生後2ヶ月から3ヶ月の間に犬同士で社会性を学ぶのはとても大切で、それはあとになって人間が教えようにも教えられない事柄が多いので。。。
早くに犬仲間から引き離された仔犬は大きくなってから犬自身が苦労します。「こんにちは」や「さようなら」や「ごめんなさい」や「それはいやです」がきちんと言える子になるには生後2ヶ月から1ヶ月の間に母犬や兄弟たちともみくちゃになって過ごすことがものすごく意味をもちます。それをしない仔犬は幼稚園にも小中高校にも行っていないのにいきなり大学に行かされて回りにぜんぜんついていけない・・みたいなことになってしまいます。
生家で親兄弟とあと1ヶ月過ごすことができるなら(←これが大前提です。親兄弟と離して置かれるのなら無意味です)、一度戻すほうがヒロくんのためです。なかさんのためにもそのほうがいいです。生後2ヶ月では留守番をさせるときの「待っててね」はまったく理解できませんが、生後3ヶ月なら「待っててね」の理解能力は少しはマシになります。

あと、ビーグルという犬種の特性を考慮しないといけません。ビーグルは孤独に弱いのです。ビーグルという犬種の歴史をぜひ勉強してみてください。何十匹もの集団で狩りをしたり貴族の馬車のガード役をしたり、常にワンワン鳴く、うじゃうじゃいっぱいいる、それがビーグルなんです。ヒロくんにもその血が流れていることを思いやってあげてください。

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