獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200608-79

RE ご意見お願いします。
投稿日 2006年8月31日(木)00時07分 投稿者 けりーずはうす

動物が完治しない病で苦しむ時、どうしてあげるのか、大変辛いところであると思います。
一つは、はたのさんのレスにもあるように、QOLを最優先にするのかということです。
しかし、この場合、2通りの方法があると思うのです。
もしも、現在の食欲低下が腫瘍破裂寸前の痛みからであるならば、一時の痛みをとるためだけに
切除手術を行なうか(もちろん、大きなリスクはあります)。
または、鎮痛剤を中心に内科療法だけで推し進めていくのか。

いずれにしても、最期はやってきます。その時、どういった最期を迎えさせてあげるのかは飼い主さんの選択です。

以前、猫の乳癌の患者さんで、手術も選択しない、抗がん剤も使用しないで1年様子を見て
かなり乳癌が大きく痛みを伴って初めて再来院されました。
この時は、レントゲンでは肉眼では転移はなかったので、QOLのために手術の選択肢を示しましたが
飼い主さんは覚悟が出来ていないようでした(もちろん、様々なリスクは説明済み、そのリスクが怖かったようです)。
その後、乳癌は急激に大きくなり破裂し、2ヵ月後には肺に転移が認められ、猫は高熱や痛みに苦しみ
体力を低下させていきました。
その時に飼い主さんは「手術は?」と口にされましたが、もう遅すぎました。麻酔をかける体力もなかったのです。
結局、猫は肺転移の癌による胸水貯留で苦しい息の中、息を引き取りました。

これは、飼い主さんが、何を選択するか選べなかった為に起きた、悲しい結末です。
彼らは、苦しまず、長生きもして欲しいと、現実を直視できずに、覚悟がついていなかったようです。
そのため、私が提供する治療も、結局納得できずに猫の苦しみを長引かすことになったのです。
私も力不足であったのかもしれません。

動物は飼い主さんを最期まで信用します。どんな選択も黙って受け入れます。
だから、覚悟が必要なのは人なのです。

今必要なのは、現在の食欲低下の原因を確かめることでしょう。
その上で主治医とご相談の上、治療を進めていってください。

ラブさんの笑顔が一日でも長く見られるといいですね。

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