同じようなケースの経験があります。
奥さんが犬が好きで柴犬をマンションで室内外をしています。御主人は犬が苦手で避けていました。結果として、犬はアルファシンドロームになって咬みつき犬になってしまいました。犬が好きだった奥さんの腕には、はっきりとわかる凄い傷ができていました。
この犬、都内の有名な動物病院が相談を受けて去勢しましたが、咬むのは止まりませんでした。指導センターの相談でも改善なしです。
転居して私の病院に来ましたが、私は犬に対しては何もしませんでした。それは、犬が私に対して初対面の時から、敵意もみせずにキチンと社会的な挨拶ができたからです。「あれ、おかしいのは犬ではないよ」ということですね。その犬は一生懸命にリーダーとしてその家族（御主人と奥さん）を守ろうとしていたんです。
御夫婦の上下関係がきわめてあいまいな状態だったので、犬は自分が頑張らなくてはとうけとってしまったんですね。犬に対しては何もしなくても、人間に対しては口うるさく家族関係を変えるまでやらなくてはなりませんね。（普通の人間であれば、これについてきてくれません。）犬を弄っても人間関係が変わらなければ解決しないのです。
この犬の場合は、結局奥さんにリーダーになっていただくようにしました。家庭生活をその方向にもっていって、奥さん自身が犬に信頼されるリーダーとしての力を身につけていただくということになりました。叩いたり叱ったりという必要はありませんが、１日２４時間１年３６５日続けることですから、根気が必要です。一旦アルファになってしまった犬にリーダーとして信頼されなくてはならないのですから。

パールちゃんが言っているように同棲の解消で捨てられる犬もめずらしくありません。
犬との生活で、犬を甘やかすだけであればやはり犬がアルファとなって、人間の方を服従させようとするでしょう。記載されている彼女の様子では責任を持って犬と対峙していただけるか不安を感じます。
では、最初からお友だちが彼女と犬に対して支配的に振舞えば良いかと言うと、どうも犬も彼女も納得しなさそうですね。
犬を同棲と一緒に迎え入れるのには、私も賛成しかねます。まず、お二人の関係が落ち着いた安定したものとしてからのことですね。そして、さらにお友だちに本当に犬のアレルギーがあるのであれば、お友だちが犬に対して理解があるようになる云々とは別の問題であると言えます。
単純に犬がそこに居ればよいという事ではなく、犬も家族の一員として幸せに暮らしていかなくてはならないと思います。