獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-200110-70

怒涛の8時間
投稿日 2001年10月25日(木)13時11分 パールちゃん

犬飼いのパールです。
倒れている猫を見つけてしまった怒涛の8時間報告です。

昨夜午前3時頃、家の外から「ナァ〜オ、ナァ〜オ」と異変っぽい猫の鳴き声が聞こえてきました。
外に出てみましたが真っ暗で何も見えません。
鳴き声も止んで声の主の姿は見つかりません。
夜明けまでそのまま待って、空が白みかけた頃に外に出てみると、草むらに白猫が倒れていました。
猫は首をもたげて私の顔を見て、「ナァ〜」と鳴きました。

「どうしたの?」と近づいてみると猫は動けないようでした。
よく見ると腰が立たないようです。
交通事故?
外傷は背中に2センチほどの裂傷と左足かかとの内側に3センチほどのスリ傷。
前足には踏ん張る力がありますが、後足はヒザから下は動くものの立つことはできないという状態でした。
左足はかかとを中心にぷっくりと腫れています。

夜露でびしょびしょの草むらから毛布を入れたダンボール箱に移しました。
急いであたためたミルクを差し出しましたが、口は寄せるけれど舐めようとはしませんでした。
茹でたササミや卵黄も差し出してみましたが、匂いを嗅ぐだけでした。
おなかはすいているけれど体が痛くて食べる気になれない、そんな感じでした。
腫れや炎症があるなら水を欲しいだろうと思い、唇に水を垂らしてあげるとペチャペチャと舐めました。
もっと欲しいと首をもたげるので、ティッシュに水を含ませて口に近づけて絞ってやると、
ポタポタ水をごくごくとおいしそうに飲みました。
そうしながら獣医さんの開始時間9時を待ちました。

9時いちばんに獣医さんに連れていきました。
レントゲン検査、神経反射検査、血液検査の結果、思っていたより軽症、命に別状はないとのことでした。
もしかしたら内臓がと心配していたのですが、それも問題なし。
膀胱や肝臓の腫れもないとの言葉にホッとしました。
立てない原因は左足かかとの小さな関節が脱臼している痛みによるもので、
猫は後足にダメージがあると腰や脊髄が平気でも立てなくなる場合があるそうです。
脱臼部分はピンを入れる外科手術の相談もしましたが、
関節炎を併発させる心配を考慮して、まずは自然治癒を治療方針としました。
ケージで1ヶ月半くらい運動を制限させて、脱臼部分の偽関節再生を待つという方法です。

検査中は持ち上げられたときに「ギャ〜オゥ」と鳴きましたが、あとは比較的おとなしく、
「この子、人に慣れてるし、よく太ってるし、飼い猫か定期的にゴハンをもらってる猫だね。
 完全なノラじゃないよ」
と獣医さんに言われました。
抗生物質と痛み止めの注射を打ってもらい、諸注意を聞き、
また明日もう一度、神経反射の検査をしましょうと言われて獣医さんをあとにしました。
我が家には今は犬7匹がいるのですが、猫はここしばらくはいないので、
帰り道に猫缶や猫カリカリ、ケージで過ごさせるためのペットシーツをどっさり買いました。

倒れているのを見つけたときから、前に見たことがある猫かもと思ってずっと考えていました。
我が家の近くではなく、いつも行く犬の散歩コースの途中で見かけた記憶がかすかにあったのです。
記憶をたどってたどって、我が家から500メートルほど離れた1軒の家を思い出しました。
その家の近くで白っぽい猫を見かけたことが、、、たしか、、、あったはず、、、。

獣医さんの帰りに猫を連れたまま、その家に寄ってみました。奥さんがいました。
「怪我をしている白い猫を見つけたんですが、お宅かこの近くで白い猫を飼っていませんでしたか?」
「白い猫、うちにいたんですけど2ヶ月くらい前から行方不明なんです」
「え? もしかしたらお宅の子かもしれないので見てもらえます?」
「ええ、見せてください」
車に乗せたままのダンボール箱の中の猫を見せると、
「あぁ、うちの子ですぅ」と奥さんは目をうるませました。

午前3時のナァ〜オ、ナァ〜オSOSコールから8時間、行方不明になってから2ヶ月、
やっとおうちに帰ることができたのは、サザエさんから名前を取ったという「タラちゃん」でした。
この2ヶ月間、子供たちが心配しつづけていたんですと語る奥さんは、
「大切にして早く足を治してやります」と約束してくれました。
完全徹夜で頭がクラクラしていた私は、
うれしいのと寝不足なのとでヘラヘラしてタラちゃんの家をあとにしました。

私にとっては不安と心配の怒涛の8時間でしたが、タラちゃんにとっては最良の結果になったと思います。
しばらくは痛くて苦しいけれど、おうちで大切にしてもらえるのがタラちゃんにはいちばんですもんね。
暗いニュースばかりで気持ちが落ち込んでばかりいたけど、
タラちゃんのおかげで心がポッと明るくなれました。

タラちゃん、ありがとう。早く元気になってね♪

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。