獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-200403-45

RE:避妊手術をしたのに発情します。とても困ってます・・・。
投稿日 2004年2月27日(金)12時26分 投稿者 プロキオン

2月25日の まさ姫さんへ

まず、最初の避妊手術がどのような内容の手術であったかを確認する必要があ
ります。
避妊手術には、卵巣のみを摘出するもの、子宮のみを摘出するもの、そして両
方とも摘出する術式があります。
卵巣を残した場合、妊娠は避けられますが、発情の再現と、「断端子宮蓄膿症
」の可能性を残すことになり、あまり推奨できません。
また、卵巣を切除した場合でも切除した部位にわずかに残った卵巣細胞が再生
することもケースとしては考えられます。このようなことを避けるためには、
飼い主さんといえども、術後に摘出された組織を確認することが必要です。

さて、今回のケースでは、卵巣組織が残存していることを想定して、別の獣医
師が2回目の開腹を実施しているのですから、普通であれば、「発情」して鳴
いているとは考えられません。

それが鳴いているのであれば、理由は2つです。
1つは、腹腔内に卵巣組織の細胞がちらばってしまっていて、2回目の手術で
も、それらがとりきれていない場合です。
2つ目は、別の理由で鳴いている場合です。例えば単に外出したくて、その欲
求で鳴いている場合です。

多くの方は、猫は発情してあの鳴き方をすると考えられていますが、実際には
外へ行きたいという欲求不満で鳴いています。外でも異性を呼ぶために鳴いて
いますので、異性を呼ぶサインとして認知されていますが、基本的には「欲求
不満」と、私はここにいるよという「自己存在証明」のサインなのです。異性
と外出の2つの欲求が重なっているからこそ、そうなるわけなのです。
したがいまして、避妊あるいは去勢された猫においても、あの特有の鳴き声自
体はあってもおかしくはないのです。

今、まさ姫さんが飼い主としてしなくてはならないのは、当該猫の卵巣組織が
残っている可能性があるか否かの確認ですね。
これは2回目の手術を実施された先生しか分からないことでしょう。1回目の
手術がどのようなものであったのかも、その先生なら腹腔の中を確認されてい
るのだから、分かっているはずです。

わざわざ再手術ということで開腹している以上は、残っている組織があるとは
考えにくいですし、お尋ねしにくいかとは思いますが、それでも確認する必要
があります。
残っている可能性がないという返答であれば、「行動上の問題」として対応す
ることになります。
こちらの場合は、猫が何故、何に対して欲求を訴えているのかを知らねばなり
ません。そこからがスタートです。

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