獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-200404-3

>問題行動?
投稿日 2004年4月7日(水)17時56分 投稿者 こば

もみーさん、こんにちは。

結論から言えば、これらは問題行動だとは思いません。
健康で、好奇心旺盛な猫には、当たり前の行動です。
猫はぬいぐるみではありませんので、健康な猫であれば、運動したいと思った時に走り回り
ますし、若い猫であれば、次々と好奇心を発揮させて、彼らなりの遊びを見つけます。
それは自然なことであり、彼らに、わざと人間を困らせてやろうという意図はありません。

猫と一緒に暮らすということは、猫の習性とうまく折り合いを付けて問題解決をしていくことで、
人間の都合を一方的に押し付けることではないですよ。
「躾」は、猫の習性を理解した上で、それを上手に利用する知恵であり、決して、猫を、猫らしか
らぬ生き物に変える魔法ではないのです。
(トイレを決まった場所でさせる、テリトリーを決めてそれ以外の場所には出さない、遊びの中で
強く噛まないようにする、ブラッシングの習慣を付ける等がそれです)
従って、猫をどうこうしようと考えるよりも、人間側が知恵を絞ったり、工夫したりして、猫の行動
パターンにうまく対応できるようになることの方が、圧倒的に多く、重要なのです。

以下は、対処法の一例です。
〇猫が齧る物、猫が近寄ると危険な物は、出しっ放しにせず、まめに片付ける。
〇戸棚に入らない物は、市販の収納ケース等を利用して、触れられないようにする。
〇洋服や食器の漬け置き・漂白等をする時は、猫が間違って舐めない場所(風呂場やベランダ
 などの密室)でやるか、猫から決して目を離さないようにする。
〇開けられて困る場所は、鍵を付けたり、ドアを補強して開かなくする。
上記は、猫の異物誤飲や薬物中毒等の事故を防ぐためにも、人間側が気を付けるべきことです。

また、
〇布団やソファーには、カバーをかけたり、クッション等の物を置く。
〇猫の好む素材の物は避けたり、カバーしやすい物を選び、高価な家具は置かない。
〇猫が好んで爪とぎする場所は、そこを保護したり、隠すようにして市販の爪とぎを設置してみる。
〇部屋に余裕があるならば、猫の入らない部屋を設け、そこに移動してしまう。
〇共同生活ならば、尚更、真夜中に大運動会を始めないように、日中に充分運動させる。
猫の本能を禁止することはできませんから、どこまで譲歩できるか、工夫して被害を最小にできる
かの問題になると思います。

猫はそもそも狩猟動物なのですから、それなりの運動量を要します。
そして、猫には、走り回る広さよりも、思い存分、登り降り出来る場所の方が重要です。
まったく走り回らない、暴れないというのは無理だとしても、家具を工夫して上下運動の場所を
確保してあげたり、市販のキャットタワーを設置してあげることによって、走り回るような連続した
騒音は随分減るのではないでしょうか。
また、切り貼りできるような床材も、いろいろ市販されていますので、どうしても騒音が気になる
ならば、検討されてはいかがでしょうか。

最後に、体罰は躾ではありません。
人間の鬱憤を晴らすためだけの行為であり、猫に有益なことはひとつもありません。
「ご主人が怒る=暴力が振るわれる合図」なので、当然、猫は身の危険を察して避難します。
しかし、それは、ご主人の行動パターンを覚えただけであり、自分の行為を悪いと認識した訳
ではありませんから、ご主人がいないところではその行為を繰り返します。
何をしても叱られる環境の部屋であれば、叱られてばかりいる猫は混乱し、最悪、ストレスを溜め
込んで、本当の問題(ストレスによる粗相や病気)を引き起こしかねません。
猫は、家庭内の雰囲気を敏感に感じ取ります。
飼い主に余裕があり、いつも穏やかな声で話し掛ける家庭では、猫もおっとりとした性格の子
に育つと言いますから、叱ることよりも、叱らないで済む方法を考えた方が、猫にも、人間にも、
ずっと、ずっと有益ですよ。

長々と書きましたが、ご参考になれば幸いです。

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