猫におけるアゴニキビのことですね。この病気は、自然現象ではなく、毛嚢炎という皮膚炎です。毛孔（毛穴）と呼んだ方が早いのですが、「毛根」の中に皮膚の細菌が感染・侵入して、そこで炎症が生じて皮脂を混じた小さな膿瘍を形成します。これがニキビということになります。黒い汚れというのは、その炎症病巣から滲出物です。

つまり、黒い汚れの大元は、皮膚の中にあるので、ニキビを洗っただけでは表層だけのことにしかすぎず、治療ということにはなりません。
むしろ、しつこく擦ったりすると、物理的な炎症を加味してしまい、皮膚も赤くなって、ニキビも腫れることとなります。
「清潔にする」ということは、ニキビの周囲の毛孔に細菌感染を拡散させてしまわないようにするという意味です。

個々のニキビについては、毛根の中の炎症滲出物を搾り出して、抗生物質や消炎剤の摘要ということで治療することが本筋です。
ただ、この搾り出すということが猫の場合ですと、痛いのでなかなか本人の協力が得られません。得られないというよりは、猫との関係を悪化させるほうにはたらくことでしょう。ですから、患部を清潔に保ち、そこに治療用の薬剤を塗布するということになります。皮膚炎でも病巣の存在が比較的浅い箇所にありますので、このような摘要で対応することとなりますが、重症のものは注射や薬剤の服用も必要となります。
また、日常生活においても食器の工夫などもしたりします。


洗浄も度を越すと、皮膚表面の保護バリヤーの破壊につながりますので、かえって、悪化させてしまうこともあります。
方法も頻度にも制限はあります、猫の皮膚状況をよく見ながらということになりますね。