獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-200908-14

Re:仔猫の離乳食の進め方について
投稿日 2009年4月27日(月)11時57分 投稿者 プロキオン

生後1ヶ月の子猫3頭に 3歳の母猫という組み合わせであれば、さほどの負担となっているということはあまりないように考えられます。
昔から、「馬を川につれていくことはできても、水を飲ませる事はできない。」と言われているように飲食については、当事者にその気がなければ、いくら周囲があせってもしかたのないことです。生後1ヶ月齢というのは、元々母親の庇護のもとに居てよい時期です、というよりも そうあるべき時期です。
母猫が食べている食餌にいずれ興味をもって口に入れて遊び始めるのも そう遠くないはずです。これは母猫を全幅的に信頼しているからこそ、安心してできることなのです。
目も開いていないような子猫が捨てられていたりしますと、哺乳や排泄の世話から始まって、なんとか早く固形物の食餌をとれるように思い勝ちで苦労するのですが、そういう体験から申しても 食べるときがくれば食べると言えます。
また、産後の育児疲れについても 疲れないという母猫の方が珍しいのではないでしょうか。母親は、種のいかんを問わず「疲れる」のが当たり前です。だからこそ、段々と乳量が減少していって、母乳だけでは足りなくなって、子猫にも乳離れが促されるのです。
( この事自体も猫に限らずどのような動物にもいえることです。 )
母猫が休憩できる場所を確保してあげるのには賛成ですが、普通の家庭で暮らす猫であれば、無理をするほどのことではないように思います。

直接母猫を診ておりませんが、一般論からの見解としては、私は主治医の先生とは異なる意見でおります。
また、子猫の保育をしてきた経験から言っても 特別な離乳食は必要なかったです。市販されている商品は、子猫や子犬というよりも飼い主さんを対象として販売しているにすぎないように思っています。

子猫の哺乳や保育がらみの話となりますと、
 瞼が開くのが平均で10日齢、正常な色覚が現れるのが30日齢、耳道が開くのが6〜17日齢、機能的な聴力が備わってくるのが4〜6週齢です。自発的な排便排尿となるのはおよそ3週齢ですし、2〜6週齢の子猫は生理的に貧血状態にあって、とくに4〜6週齢が最低値となります。正常な血液検査数値が得られるようになるには3〜4ヶ月齢を待たなくてはなりません。(尿比重においても8〜10週齢になるのをまたないと正常値とはなりません。)
つまり、子猫というのは、そのくらい未完成な生物であって、母猫に多くを依存していることとなります。これを早期に母猫から引き離す事が いかに大変な事であるかが想像できるかと思います。
飼い主が子猫に強制給餌する際に 私達が最も恐れるのは「誤嚥」です。本人が拒んでいるところへの給餌ですから、事故につながりやすいものです。せっかく育ってきた子猫をそんなことで失う事の方が私には残念な事と思われます。
母猫の消耗が激しいのであれば、必然的に泌乳はとまり「乾乳」へ移行していきます。哺乳のステージとしても そう先ではないはずです。
育児は、結果をもとめてあせるものではなく、子供の生長に併せて行くものではないでしょうか。

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