獣医師広報板ニュース

ハムスター・リスなど齧歯類掲示板過去発言No.1300-200602-91

アガリクスについて、
投稿日 2006年2月26日(日)17時57分 投稿者 プロキオン

この発癌性云々については、つい最近新聞をにぎわせたばかりですよね。
そして、どこの製品をどのような試験に供したのかも問われています。真実というのは
いつもいきなり現れるのではなく、行きつ戻りつしながらだんだん明らかになっていく
ものではないかと思います。一喜一憂する必要はないでしょう。

ただ、アガリクスの作用というのから考えると、発癌性があってもおかしくはないでし
ょうね。アガリクスが癌を破壊するのではなく、アガリクスが体内に入ることによって
体細胞性免疫を担った細胞が癌細胞を攻撃することによる結果とされています。
換言すると、癌を攻撃するのは生体側の作用であって、アガリクスはこの体細胞性免疫
を刺激する物質ということになります。これは、すなわち一面から見れば、癌の構成物
質と裏腹なものということになりかねません。

少しばかり意味合いが異なるのですが、感覚としての類似の話であれば、獣医師の場合、
抗癌剤という薬剤そのものが発癌物質であることは承知しています。
癌細胞を破壊する物質は、細胞障害性作用を有しているからこそ、抗癌剤なのですが、
癌細胞を傷つける作用というものは、それ自体が新たな癌を引き起こす可能性を内因し
ているのです。抗癌剤を調剤するときには、マスクや手袋を着用するようにと教わって
います。
当然、飼い主さんにも取り扱い時の注意は忘れないようということになっています。

アガリクスは自然の生薬のようなイメージがあるので、なにかしら安全のように受け取
りがちなのですが、天然のものでも「トリカブト」のようなものもありますし、「ふぐ
のテトロドトキシン」のように危険なものも存在するわけです。よく、抗生物質を嫌う
方がいたりして、漢方薬を勧めたりもしていますが、漢方薬でも死者は出ます。むしろ
体質にあわなければ、かえって体にはよくありません。
どのようなものであろうと、作用するときは物質として化学的に作用しているわけです
から、何々だから絶対に安全ということはありません。主たる作用があれば、副作用も
あります。それがまったくないのであれば、効果も期待するほどのことはないのでしょ
う。

アガリクスの発癌性については、そういうことがあっても驚きませんし、また、だから
と言って、二度と手を出さないということでもありません。私自身は処方していません
が、主作用と副作用を承知していて、どのくらいの量でどのように摘要できるかという
だけのことです。
利とするところが多ければ、使いますし、そうでなければ、使わないというだけです。
まだ、いそいで結論を出す必要は感じていません。検証の行方を待っていてもよろしい
かと考えています。
# 私は新薬には飛びつかない方の人間ですので。

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