獣医師広報板ニュース

ハムスター・リスなど齧歯類掲示板過去発言No.1300-200612-78

マウスの繁殖
投稿日 2006年12月28日(木)12時03分 投稿者 プロキオン

通常、親子の分離というのは生後1ヶ月を目処に別々にされます。これは、ネズミの習性というか、父親が雄の子供を攻撃して縄張りから追い出そうとするからです。他の野生動物でも「子別れ」という呼ばれる現象で、子供達の自立を促し、両親は次の繁殖の準備に入るために子供達が邪魔になるからです。
ところが、ネズミに関しては、雌であれば、自分の子供でも縄張りの中に囲い込んで繁殖の相手にしようとします。
この習性があるので、繁殖数がいとも簡単に増やすことが可能ですし、遺伝子的にも均一化が図れるということになります。それが実験動物としては都合が良かったからです。
遺伝子的には、すでに相当に均一化が進んでおり、いまさら、「親子がけ」の心配をするまでもないと考えられるかもしれませんが、そこはそれ、種としては衰退に向かうと考えるべきなのでしょう。実際のネズミの世界では、父親に追い出された雄の子供達が生き残るために縄張りから外へ出て、違う集団と交じり合い、種の健全性と生息地の拡大に努めていることになります。
実験動物として飼育されている集団においては、やはり何世代か交配を進めていくと、突然出走率が低下してきて生まれる子供が減少してきたり、虚弱や異常な子供が生まれるようになってきます。したがって、管理者がそうなる前に雄を入れ替えるようにしています。
遺伝子がどんどん濃くなって、均一化してくるとそれだけデッドコピーの出現率が高くなるわけです。
動物は本来的には、「近親交配」を避けるようにできています。それが「種」にとっては不都合なことだからです。ネズミの場合は、ファミリーとしての集団は滅んでもよい、「種」は縄張りから追い出された雄の子供が伝えていく。そして、ファミリー自体も他所から来た若くて強い雄に自分がやられて、のっとられることを前提に雌の子供達を増やすという戦略をとっていることになります。
そういう生存戦略がとれない閉鎖された集団では、なおのこと「親子がけ」の近親交配は望ましくありません、実験動物でなく愛情の対象としてのペットであれば、なおのことです。
すでに均一化の進んでいるものに さらに人間が手を貸して加速するのは、愛情の対象としての動物にはふさわしいとは思えませんよね。

気温に由来する繁殖の可否は、マウスの場合、当てにはならないでしょう。通常の野生動物の場合は、繁殖の制限は気温や日照よりも餌に左右されていることが普通です。
マウスの場合は、野生のハツカネズミであった時点で、すでに人家に依存しており、餌に不足するということがありません。温度というのも巣を作りますので、その巣の中では外気温による影響はさらに小さくなり勝ちです。宇田川竜男先生の執筆された「ネズミの話」の中には冷凍倉庫の中で暮らしているネズミの話が登場します。生息域の広さというか環境への適応性の例として紹介されています。私自身の体験としても、あるマイナス20度の冷凍倉庫の中でネズミが生活している痕跡やネズミ自身の死骸を目撃したことがあります。
さすがに、その温度であれば繁殖はしていないでしょうが、生きていくことは可能なようですよ。

膣栓は雄の性嚢腺からの分泌物が凝固してできますが、これは他の雄がその雌と交尾しにくくするためと考えられています。
では、他の雄が交尾しようとするとどうするかというと、雌の膣栓を掻き出して交尾することになります。性周期で2クールの時間があったわけですから、当初の膣栓は失われていると考えた方がよさそうですね。もしも、残っているのであれば、雌が雄を嫌って逃げ続けたか、新たに形成されたものということになると思います。

まあ、もっとも片方が必ずしも雄と確認されてはいないのですよね。それでも、雌同士であれば、急に拒否するようにもならないので、雄である可能性が高そうです。
もし、妊娠していれば部屋の気温が低いというのは、可愛そうのように思います。小鳥の
BBSを覗いてみれば、外気温が寒くなってから「卵詰り」の話題がよく出てきます。飼育されている小鳥なので栄養はある、栄養があるから卵ができる、できた卵は産まなくてはならない、しかし、気温が低いので、卵が詰って事故となるという具合です。
気温が低ければ、繁殖は難しいこととなりがちですが、妊娠しないということではなく、赤ちゃんが育ちにくいということだと理解しておいた方がよいと思います。赤ちゃん自身も母親の体内にいるうちは、守られていますので、生まれてからということです。

できれば、ネットではなく、マウスの妊娠が分かる方に確認していただいた方がよろしいでしょう。その時にもう片方の雌雄確認もお願いしたらと考えます。
これができない場合は、そのままにしておくよりは、妊娠しているものとして準備しておくべきだと思います。

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