獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200511-48

噛み付きウサギ
投稿日 2005年11月12日(土)12時14分 投稿者 プロキオン

ウサギはけっこう排他的ですし、頑固です。大人の雄ということであれば、この傾向はな
お一層顕著になると思います。

去勢については、実施してもしなくてもウサギからの攻撃がなくなるというか、「0」に
なることはないでしょう。
これは、まず縄張り主張の攻撃ではないかと思われるからです。子孫を残すための雌を獲
得するための戦いではなく、自分自身の生存をかけて縄張りを主張していると考えられる
からです。
去勢すれば、おそらく攻撃性は弱くなり、噛んだり蹴ったりの回数は減るでしょうし、そ
の執拗さというか、噛む力も弱くなると考えられます。ただ、完全になくなるとまでは期
待されない方が良いでしょう。

犬の躾の方でも、勧められて去勢したのにもかかわらず、その後も噛まれるというクレー
ムは多いのが現実です。人間が犬を自分の支配下に置きたくて、逆らう犬に対して「噛む
」という行為を止めさせて「去勢」するのであれば、犬自身にも言い分(理由)があって
のことですから、期待はずれに終わります。

なぜ、攻撃してくるのかという原因や理由を理解して、これをやり過ごすというかあしら
う術を身につける必要があります。
こちらが本来的には望ましいのは言うまでもないのですが、時間もかかりお子様も被害に
あわれているのであれば、「去勢」によって多少なりとも攻撃性を弱めるという措置は検
討されてもよいと思います。
# 去勢が最終的な解決策ではない点は理解しておく必要があると思います。

叩くという行為は、ウサギが相手であれば、お勧めできかねます。ウサギの骨はひじょう
に脆く、骨折しやすくできています。
また、肺も構造的に呼吸困難を引き起こしやすいので、強いショックを与えるのは賛成で
きません。まして、それが意図的であればなおのことです。
たしかに力ずくで徹底した負け犬にしてしまえば、反抗してくることは減るでしょうが、
縄張りを奪われた雄個体が、負けた相手の縄張りの中で暮らしつづけていかなくてはなら
ないというのは、外傷ではありませんが、精神的には相当のストレスとなります。ウサギ
自身にとっては一刻も早く立ち去りたい場所になっているはずです。

去勢犬の噛み付き犬の場合でも、去勢が噛み付きの解決策と考えてしまっていることに原
因あります。発情で気が荒くなることはあっても、噛むことの根本的な原因ではありませ
ん。だから、去勢した後になって、がっかりしてしまうということが起こります。
そのような犬でも私が会ってみると、ごく普通の挨拶のできる犬であることが多いです。
こうしなくては、こうであれねばならないという意識に飼い主さんが思い込んでいて、犬
がそれを嫌って自己主張しているというケースが多いのです。
犬をアルファにしてはなりませんが、あえて犬の嫌がることをやって、攻撃を誘発するま
でしてはならないということになります。適当な距離感覚とでもいうのでしょうか?

ウサギとの付き合い方であれば、蹴ったり噛み付いたりをかわしたり、いなしたりの術と
でもいうのでしょうか。自分からの攻撃が通じない相手と認識してもらうということにな
ります。
ウサギの口は犬や猫のように大きく開くことはありませんから、噛み付きは犬や猫よりも
かわしやすいですし、そのタイミングを計ることは可能だと思います。
取り扱い自体も、「噛まれない」ではなく、「噛まさせない」だと思います。こちらは動
物病院等で具体的にどのようにしているかを参考にされるとよいと思います。

一番伝えたいのは、「ウサギを怖がらない、ウサギに怯えない」ということでしょうか。
気持ちで負けてしまっては、先へ進みませんし、相手にもそれが伝わってしまいます。
攻撃性を若干なりとも弱めたい、そしてその間にウサギをうまくいなす術を取得したいと
いう前向きな考えであれば、去勢もよいと考えます。
気持ちが負けてしまっていての去勢であれば、解決策とは言えません。

ライオンや虎とは異なりますから、人間がウサギに噛み殺されるという事件にはならない
でしょう。
しかし、反対にかっとした人間が、ウサギを叩いたり、蹴ったりした場合は、ウサギを殺
してしまうことはありえます。ウサギと人間では、それだけの力の差があります。人間の
方に冷静になれるだけの充分なアドバンテージがあると思うのです。

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