獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200712-31

Re:お月様へ
投稿日 2007年12月14日(金)21時55分 投稿者 チーママ

正直言って、こればかりは分かりません。
我が家の場合は、死後すぐに剖検(解剖)を依頼しましたが、その時の獣医さんのお話では
「亡くなるとすぐに腸内の発酵が進みますので、死後すぐでないと、ガスが溜まっていても、それが亡くなる前のものか、後のものかは分からないんです。多くは死因が特定できない事が多いのですよ」
との事で、死因の特定はあまり期待しないで欲しい、という事でした。
幸いというか、我が家の場合は「胃破裂」という死因の特定が出来ましたが、大部分はそうはならないでしょう。私としては、もし死因の特定が出来なかったとしても、内臓に異変がなかったのなら、食滞による全身機能のバランスがくずれたと解釈したでしょう。
食滞により血液が酸性化した場合には、容易に意識混濁が起こり、そこまでいったら命を取り戻すのは難しいと知っていますから。そして、ほとんどのウサギさんは、引き金は何であれ、それで亡くなる事が多いと聞いていましたから。
また「突然死と言われるものの多くは、それまでギリギリのバランスでかろうじて生きていた状態があり、そこに何らかのきっかけがあって、一気に坂道を転がり落ちてしまう」というような話を聞かされていましたから。

それが、うーさんのウサギさんに当てはまるかどうかは、専門知識も豊富な経験もないので、分かりません。例えて言えば、「駅弁」と書かれていても、それがお弁当であることは分かっても、中身が何かは開けてみなければ分からないというのと同じです。
そして、ウサギさんの死因に関しては、開けてみて最終ステージの腫瘍や肝硬変等、明確な病巣が見つからなければ、分からないことの方が多いのです。
万が一レントゲンに写ったものがリンパ系の腫瘍であれば、明確な病巣は小さくとも、肺に転移して微妙な状態にあったかも分からず、これは獣医さんでも分かりませんし、どうしようもありません。人間のように、あるいは犬さんのように体力があるわけでもありませんので、抗がん治療などの路も明確ではないのです。
これは鳥さんなどではよくあることで、死後解剖したら、内臓全般にポツポツと病変があったという事もあります。これはレントゲンでは分からない。飼い主にしたら、まさにある日突然に、なのです。
鳥もウサギもハムスターも、体の小さな被捕食動物(食べられる側の動物)は、弱ったら身の危険なので、ギリギリまで食べたり動いたりします。なので、ますます具合が悪くなったと思ったらあっという間、と飼い主は思うのです。
我が家のユキだって、いよいよ様子がおかしいとなったら、数時間で亡くなりました。前の日は飛び跳ねていたのに、です。

ですから、うーさんのお気持ちは痛いほど分かるのですが、死因ばかりは分かりません。
ましてや、うーさんがどうしたら救えたのかも、です。
ただ、間もなく7歳にもなろうとしていたのですから、ウサギさんとしてはそこそこ年がいっていたとも言えます。若い頃ならなんとでも乗り越えたことが、体力的に越えられなかった、という事かもしれません。高齢になるほど、体力も抵抗力も落ちますからね。

まだまだウサギの獣医療は、犬猫のように進んでいません。
10年前よりは、診てくださる獣医さんも増えましたし、熱心に取り組む先生も増えました。ショップでも、牧草を主食にするところが増えました。
でも、未だに食滞だけでもてこずるのです。
死因が分かれば、飼い主さんの心が少しは楽になるのは分かっていますが、これが一番難しいことなのかもしれません。ましてや解剖なしには、分かるはずもないのです。

でも、うーさんの行動が悪かったことは一つもありませんよ。
それは、うーさんのウサギさんが一番良く知っているでしょう。
心から愛して、一番心配してくれたうーさんに、きっと感謝とありがとうを言っていると思います。
ウサギさんと暮らした日々が、うーさんにとって楽しく大事な想い出になるのを、心から祈っています。



◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。