獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200712-46

Re:Re:目の下の縁に白いものが
投稿日 2007年12月19日(水)15時43分 投稿者 プロキオン

ちょうどよい訳語というのは、ないように思います。そもそもChalazia が「霰粒腫」という訳語になりますが、こちらは本来はマイボーム腺の閉塞による慢性炎症性肉芽種のことを指して言っています。
つまり、マイボーム腺が閉塞して脂肪が詰った状態のものと、炎症を呈したりとか、周囲に肉芽腫を伴ったりという、どこからどこまでが臨床的にあいまいなのです。
病理学的には肉芽腫まで進行しているものということになるのでしょうが、炎症があっただけでは、そう呼ばないということでもありませんし(人間の例では、この段階が多い)、脂肪の蓄積の段階でも、カルテには「霰粒腫」と記載する目医者さんも普通のことと考えられます。
また、閉塞している内容がマイボーム腺の分泌物である脂肪なのか、炎症性の膿なのか、水分を失った膿(脂肪と区別しがたいです)なのかは、あまり区別せずに、挫滅して切除するか、マイクロキュレットで掻爬するかで処置としては同じになります。
ですから、臨床医が患者さんに説明する際には、「マイボーム腺腫」と説明されることの方が多いと思います。みづりんさんが御自分で調べて「マイボーム腺腫」に行き着いたというのは、ごく自然というか、むしろ当たり前のことだと思います。

少し前に「マイボーム腺腫」の相談が意見交換の方であって、私が「マイボーム腺が腫れているから、そのように言っています」という箇所に 田口先生が「それはマイボーム腺腫ではない」と突っ込みを入れてこられたのは、実にこのような事と同じ意味合があります。
腫瘍としての「マイボーム腺腫」とChalazia とは本来別のものなのですが、日常的に用いられている「所謂マイボーム腺腫」は、そのほとんどがChalazia であり、あるいはその前駆症状なのです。ですから、「マイボーム腺腫」という呼称で耳にしたのであれば、Chalaziaのつもりで話しを聞いておかないと逆に話が合わなくなってしまいますが、残念な事ではありますが、これが現実です。
その際の話は、山下先生が話しを引きとってまとめてくださいましたが、私も山下先生も「眼瞼上にできた腫瘤物」というような表現を使わざるを得なかったように記憶しています。
脂肪であることが、はっきりとしているのなら、ストレートに「瞼の脂肪」が理解してもらいやすいかと思います。今回のケースでは、ポロッと取れたということのようですから、詰っていた脂肪が押し出されてきて、自重で落ちたというような考えるのが自然なように思います。

病理学用語と臨床用語との間に相違があることは、しばしばありますが、あまり正確とは言えない方が多数派を占めてしまっていると混乱してしまいます。ちょうど使用しやすい用語がなかったり、使いにくい言葉だったりすると、このようなことになります。

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