獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200908-36

Re:歯について
投稿日 2009年7月17日(金)00時57分 投稿者 チーママ

こんばんわ。
ウサギさんの歯は一生伸び続け、食べる事によって磨耗し、常に良い状態にあるのですね。ですから長い繊維のある牧草だと、沢山咀嚼する(噛む)ことになるので、お勧めなのです。噛むと言っても特に臼歯においては、上下に噛み潰すのではなく、臼のように横にすりつぶす動きが大事になります。それで最近は・・・
・繊維質の多い、すりつぶす動きが多いペレットが推奨される。
・硬いペレットは、噛み潰す為に歯根に負担がかかるので、ソフトタイプ、あるいは水をたらすとふわっと崩れるタイプのペレットがよいとされる。
訳です。

一見硬く見えても、口に入って唾液が加わるとすぐにほぐれるものもありますし、ほぐれても材質が均一でなくちょっと硬い粒があるものとか様々です。一頃私はあれこれと口にしましたね(笑)お皿に入れて水をたらせば済む事ですが、やっぱり唾液と水とじゃ違う気がして。

で、気になさっている歯の方ですが、食餌の内容や、もともとの骨格から、ウサギさんによっては歯の噛み合せが悪くなる事があります。
・切歯(前歯)が伸びすぎる。上の歯は、下の歯より前に伸びてきます。下の歯は、内側に向かって伸びます。中には骨格的に受け口の子がいて、下の歯が上の歯にぶつかる子もいます。いずれにしても、多少のずれは、あごの調節をして食べている子もいます。
だから獣医さんは、歯の調節をした後に「多少食べずらそうにするかもしれませんが、そのうち慣れますから」とおっしゃるようです。
・臼歯(奥歯)はもちろん上下に伸びていきます。繊維質が少ない食餌だと磨り減らないので、状況により内側や外側にずれていき、口内を傷つけます。またスパイクといって、針状にとんがった部分が出来てしまう事もあります。臼歯の伸びすぎは、これはもう痛い。ノミで食べるたびに舌や頬を削っているようなものですから、ざっくり切れて口内炎になって、食べたくとも食べれない。
・臼歯への過度の負荷。先ほども言いましたように、硬い一方のペレットを食べていると、歯根方向に力がかかります。見えない部分で困るのですが、釘をかなづちで打ち込んでいるようなものです。ひどくなると下の歯があごの骨を突き抜ける。あるいは上の歯が眼球方向に押し込まれる、といった事態になります。そこが炎症を起こすと、膿瘍になりやすいです。 ウサギの歯根は開放根といって、人間のように根の先が閉じていないので、一端炎症や膿瘍を形成すると、治療は非常に困難になります。

というわけですが、持って生まれた骨格というものもあるので、適正な食餌をしていても、不正咬合になる子はなります。
症状としては
・食餌の量が減ってきた。当然糞も小さく少なくなる。
・食べたそうにするのに、食べるのをためらう。
・よだれが出る。(口の角がぬれている) それをぬぐうので、前足の内側がよだれでガビガビになる。
・目の方に力がかかっている場合は、涙や目やにで目頭がぬれている。鼻をフガフガ言わせる、あるいは鼻が湿っている。鼻水が出る。
こうなったら、ためらわずに受診してください。

どれくらいの間隔でメンテナンスが必要かは、それぞれの子によって違います。同じ食餌をしていても、なる子もいれば、ならない子もいます。生まれ持った骨格のせいや、自分で上手にあごを調節して食べる子もいますので。ただ、ペレットのみ<ペレットと牧草あるいは野菜<牧草 の構図で、不正咬合はなりにくい傾向はあります。ですから牧草が推奨されるのは、単にお腹のためだけでなく、歯のためにも必要なのですね。

また一度不正咬合を起こして食滞を起こしてしまってからでは大変なので、定期健診をお勧めするわけです。定期健診をする事で、その子その子によってどれくらいの間隔で健診やメンテナンスが必要か分かってきます。
ちなみに、以前我が家にいた娘は「2ヶ月ごとに上の切歯を2mmカット」でした。息子は「年に1回ぐらい、臼歯にスパイク」くらいです。今いる1歳のチビ娘は、調節不要です。いずれも同じ食事内容です。
お顔が丸いネザーちゃんやロップちゃんは、骨格上、比較的なりやすいと聞いております。

歯のメンテナンスは、いまだ多くの獣医さんが麻酔下での処置かと思いますが、中には無麻酔で出来る先生もいらっしゃいますので、探してみることも大事だと思います。多少遠くても無麻酔で処置できる先生は、特に高齢ウサギさんにとって重要になってきます。
食べる事が一番の健康の基本ですので、ウサギさんの歯の健康にも十分注意してあげてくださいね。

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