獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-202101-66

Re3:親離れ
投稿日 2013年7月17日(水)21時50分 投稿者 チーママ

現状だいたいわかりました。
まずは、穴ウサギという動物について、基礎知識を知りましょうね。

みなさんは、ペットのウサギを考えると「おとなしくて、犬猫みたいには賢くない」と思われるでしょう。
また、あちこちのテーマパークなどで沢山一緒に飼われているのをみて、それで大丈夫だと思っていることでしょう。
実は、ウサギは原則「個別飼い」なのです。

もともとが穴ウサギ属(日本の野山にいるのは野うさぎで、習性も性格も違います)といって、ピーターラビットがそれにあたります。
それぞれが縄張りを持ち、メスの縄張りのいくつかを含むのがオスの縄張り。
つまり、ゆるい群れの動物です。敵をいち早く見つけるには、沢山の目が合った方がいいですよね? そのために、ゆるい群れを作っているのです。
人間で言えば、家がそれぞれの縄張り。ゆるい群れが、町内会といったところでしょうか。
オス同士は、縄張りを守るためにかなり争います。ウサギの喧嘩は、その鋭い前歯が凶器ですから、かまれればざっくりと大出血です。
メスであっても、良い子育て環境を守るために、縄張り意識は強いです。
テーマパークなどである程度一緒にしていられるのは、弱いものは強いものから逃げられるだけのスペースや身を隠す場所があるからです。
ですから、狭い飼育小屋などでは、強いものが弱いものをかみ殺すことだって、当然ありえるのです。乳離れした子うさぎや体や気が弱いウサギが標的になるのは、至極当然です。
大体が学校飼育動物の場合は、このトラブルが非常に多いですね。

また、繁殖期というものがありません。交尾すると、それが刺激になって排卵しますので、いつでも繁殖可能なのです。
また、「こんな場所では子育てできないわ」と思うと、母親が生まれた子供を飼育放棄したり、かみ殺すこともあります。ウサギにしてみれば、環境に合わせて生きているということなのですね。

ケージは開けます。それくらいは賢いです。
何かで仕切りをしても「押してもだめなら、引いてみる。それでもだめなら、横にずらす」位のことは、朝飯前です。学習能力は、犬猫並だと思ってください。
ですから、家庭で大事に飼われている場合は、名前も覚えますし、他の言葉も覚えます。
我が家の息子は、台所で「ごはんよー」と言えば、すっ飛んできます。
「もう寝るよー」と言えば、寝る部屋にかけていきます。
自分が何を要求しているか、とても雄弁に語ります。
ウサギは、結構おしゃべりなんですよ。
我が家のウサギは、家中ご自由の犬猫と同じ飼い方をしていますが、それで何も困ることがありません。トイレは、決まったところでする習慣があるのがウサギです。
そういう動物を相手にしているのだと、理解してください。

ケージに入れる場合は、別にナスかんなどの鍵をつけることが大事です。
餌は十分に与えてください。ただし、何箇所にも分けて。
弱い固体は、おびえたり、脅されたりして、食べることができません。

お金がないのは、わかります。
それで仕方がないと言うなら、今のままで死んでいくのを見ているしかありません。いつかは、強いオスも気の強いメスも死んでいくでしょうから、成り行きに任せて、最後のウサギが死ぬのを待つしかありません。
でも、すでに現状は子供の教育のためにはなりませんね。

学校飼育動物は、命の勉強として飼育を進められています。
なのに、お役所は飼育を進めて餌代を出すだけで、きちんとした指導はしませんし、病気になっても病院代を出さずに、死ぬに任せています。
すでにそうなように、「朝来たら死んでいた」と言うことも多く、その光景を見ても、生徒もなれてしまってなんとも思いません。いたずらに、うさぎの墓だけが増えていきます。
それで命の教育とは・・・。まったく正反対の「命を軽んずる教育」「死に慣れてしまう教育」になってしまいます。
なので、学校飼育動物としてウサギはふさわしくないと、飼わなくなっているところもあります。そうなれば、ありがたいですが。
逆に、獣医さんの協力と指導の下、しっかりとした飼育を始めているところもあります。
当然費用は必要ですが、それをきちんと出しています。

決しておとなしくはなく、骨折しやすく、病気にもなりやすいウサギ。
なので、最近の動物園のふれあい動物広場では、ウサギを出さなくなったところが多いです。私の住む横浜市の3動物園では、ずいぶん前から取りやめています。
ウサギへのストレスも非常に多く、ウサギの骨折はなかなか治りませんし。
命を大事にするべき動物園だから、ウサギを出さなくなったのです。

一方で、幼稚園などでウサギを大事に飼っているところもあります。
そういうところは、主に園長先生なり責任者が、しっかりと管理する体制が整っているのです。ウサギのことを良く知り、日々の健康管理をきちんとし、病気になれば病院へ行きます。もちろん、園児たちにも付き合い方を良く教えています。
動物を飼うと言うこと、命の教育をすると言うことは、手にした命に責任を持ち、大事にいつくしむと言うことなのですね。

さて、そうは言っても現状をどうするか。
もう一度、先生方も含めて、よくよく話し合う必要がありそうです。
まずは、飼い主探しをしてください。少しでも数を減らさなくてはなりません。
オスだけ残すのでは、ケンカの危険がなくなりませんから、できればオスを引き取ってもらうのが一番です。
どちらか一方だけなら、増えることはありません。
スーパーへの張り紙や、ネットでの募集など、みんなで話し合ってください。
大人のウサギを引き取ってもらうのはなかなか難しいことではありますから、同時に子うさぎや若いウサギも募集しましょう。何しろ数を減らす。
かかりつけの獣医さんのところで、学校で生まれたウサギの飼い主募集の張り紙を見ました。そのように、いろいろなところに手分けして、飼い主募集をする努力は必要です。


そうそう ちくわちゃんですが、他の子となじませるのは、無理です。
先にも述べましたが、もともと個別で飼うのが基本の動物に、人間の都合で一緒に暮らせと言っても無理なのです。
きちんと別に鍵をつけ、ケージ飼いにするしかないでしょう。
ウサギ同士で仲良くできる可能性としては、「オスメス」「メス同士」(オス同士は、ほぼ無理だと思ってください)なのですが、メス同士でも性格が合わなくては無理です。
オスメスで相性が合って一緒に飼う場合には、当然避妊去勢が必要です。

お金がないなら、今のまま飼い続けることはやめるべきです。
すべてのウサギの、新しい家を見るける努力をしてください。
もしも、ウサギがかわいいなら・・・

「学校飼育動物を考えるページ」と言うサイトへのリンクを貼っておきます。
相談窓口もありますので、ぜひ先生方に見ていただいてください。
飼育の仕方などもありますので、みなさんで参考になさってください。

http://www.vets.ne.jp/~school/pets/

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

サポーター:ホームドクター・専門診療・救急:神奈川最大級のプリモ動物病院グループ様のリンクバナー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。