獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200309-76

reウズラの餌
投稿日 2003年9月24日(水)17時21分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

「市販のウズラ用飼料は高カロリーのため寿命を縮めてしまう」は、まあいろいろな意味がありそうです。
 「市販の」が、「ペットショップでよく見掛ける」であれば、まあそんなものですね。それらは、成長期や高産卵期向けに出来ていますから。高カロリーなのもそうですが、高タンパクでもあるので。

 全体を見るならば、成長期>産卵期>非産卵期>老齢期 という順に、高カロリー、高タンパクが望ましいわけです。
 ショップで市販のものは、この中でも成長期向けの産業用の配合を小分けパックにしてある、というイメージでよいかと。まあ、餌以外の原因で老齢になるまでに死なせることも多いからにはどちらかといえば雛向きを優先せざるをえない、かつ、複数種を売り出せるほど「ペット用ウズラ」の市場規模はないと考えられる、ので、しかたないわけですが。

 また、前記の傾向は変わらないながら、産業動物としては、さらにより高カロリー、高タンパクに傾きがちになります。生理的寿命よりも早く経済的寿命がきますから。マスなどでは、不断給餌より8割に制限するぐらいのほうが長生きしやすいと言われていますが、その逆をやるわけですから。

 と、たとえば、高齢のウズラを「個体に注目して」維持しようとするのに、「市販の」餌を使うと、二重に、カロリーとタンパクが過剰になるだろう、と。
 この是正には3つの方針が考えられます。
 ひとつは、市販のウズラ用をベースに、青菜を多く与える、あるいは混ぜ物(小鳥用の粒餌特にヒエ単味とか、麦とかの比較的低カロリー低タンパクな穀物とか)をして餌の強さを薄める、といったもの。
 ふたつめは、ウズラ用と似た考えで但し弱めに作られている他のキジ類用の配合飼料、ひらたくいえばチャボ・ニワトリの成鳥用を使う、というもの。
 みっつめは、穀物や動物性タンパク源(ふつうは魚粉)からして完全自家配合とするもの。

 柚姫さんは3番目をお考えのようですが、あまりお勧めできません。悩んでおられる通り、配合に迷うからです。
 配合には、a ウズラが必要とする栄養素 と、b 各単味飼料に含まれる栄養素 を別個に調べる必要があります。aは、産業用の数値はありますが、ペット用のものは存在しないのではないかと思われます。bにしても、一般論ではなく、柚姫さんが使われる商品でなくてはしかたありませんから、これまた困難です。
 なので、1番目ないし2番目がお勧めです。

 「市販の」もの、成長期には大きな問題はないのです。成長が急ですから、高カロリー高タンパクでないと身が持ちません。青菜を多めに、グリッドも与える、マッシュでないものが手に入るなら中雛ぐらいで切り替えて行く、というていどの配慮でよいかと。
 そして骨格が成鳥サイズに達したところで、次第に、成鶏用に変える、と。
 
 多少の不備はあるにしても、やはり商品として完成されているものですから、素人がゼロからやるよりも安定しています。利用しない手はありません。
 そしてウズラの体調がよめるようになってきたら、薄めるために小鳥の粒餌をまぜてみて様子を見る、薄すぎるようなら、配合飼料の魚粉よりはおそらく高品質であろうと期待できる小鳥用の摺り餌を混ぜる、といった工夫をなさればよいのではないでしょうか。細かいこといえば、同じエサでもメスのほうが太りやすいとかもありますし。

 ・・・ただ、こうした餌の強弱は、運動量や寒さとも関係します。屋外禽舎で飼うのなら、「市販の」ものでも、高齢個体にだって強すぎるとはいえなくなることもあります。寒地であれば、「市販の」以上に思いっきり高タンパク・高カロリーにしても足りないことさえあるわけです。
 また、ペット用のウズラ籠も、実は産業用と同じコンセプトです。高くすると飛び上がって頭をぶつける、うんと低くしてしまえば加速がつかないから、頭は禿げるけれど死亡しづらい、ということで。さらにフン切り網もありますし。
 可能であれば、十分に高いケージが用意出来るといいのですが。1メートルぐらいなら天井を軟らかい網に。2メートルあれば金網でも可です。ヒトがいない間の頭部の保護も含めてなので、狭い籠で飼って室内放鳥するのでは完全には代わりにならないわけです。
 
 餌に注意されるのはよいことですが、それ以外の要素にもご配慮されるのがよろしいかと。雄の鳴き声対策で短日条件にするのなら餌も弱く、逆に正月に鳴かせたいのなら年内から炙って餌も強く、といった関連がありますから。

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