獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200602-47

続、羽切り
投稿日 2006年1月18日(水)10時36分 投稿者 プロキオン

昨年末に所属している研究会のセミナーがあって、アメリカから講師の先生を招いて
実施されました。
その中で、示された「羽切り」の画像が、牛や山羊に稲藁を切ってあげるときに使用
する、学校で言えば重なった紙を裁断する、あれ、つまり所謂「押し切り」を用いた
画像でした。
会場は、一瞬にして凍り付いてしまいました。

講師の先生も、気がついて、通訳さんに「冗談だと言って下さい」とすぐに告げまし
た。あちらで飼育されているインコは大型の種類が多いらしく、他の場面に登場する
鳥達も大型の鳥が多かったです。この時のモデルもコンゴウインコでした。鳥が大き
いとバッサリと切るのには、こういう道具を使いたくなるでしょうというジョークな
んです。
普通の感覚であれば、そのような場面があってはならないことは理解できるであろう
ということでジョークとして見せたということになりますが、「羽を切るのに急いで
いるときには、このようにします」というコメントと共に見せられたので、会場は固
まってしまったということになります。

大型インコ類で飛翔能力の高いものは、いったん飛んでしまったら、回収できなくな
る可能性がありますから、「羽切り」の依頼もそれなりにあるというのが、あちらの
事情なのでしょう。それゆえ、「羽切り」についても、どの羽をどのようにが、ある
ことになります。
小鳥をはじめとして、エキゾチックペットは、あちらの文献をそのまま翻訳したり、
紹介したりが多いのですが、背景にある動物事情と文化を理解していないと、誤解を
まねくこともあります。
今回のセミナーの事例も、生の会場の雰囲気で、講師の先生もすぐに訂正できました
が、印刷物でそのまま紹介されたものを読んだだけであれば、アメリカでは「押し切
り」で鳥の羽を切っている、これが先端の方法であって、スマートで早いのだという
ことにもなってしまうわけです。
# 実際には印刷するときも「冗談です」の一文は入れていただけるはずですが。

羽を切るべきだという意見は、今のところないようですが、切ることが悪くて、切ら
ないことが善ということではありません。
切らなければ、飼育に問題がある場合もあると思います。ただ、「手乗り」というこ
とであれば、羽が切ってあるから手乗りになるということは、まったく関係ないとい
うのが大方の考えなのだと思います。

昨今、猛禽類を飼育して、屋外で飛ばしている人達からみれば、羽を切ってあったら
なんの意味もないことでしょう。屋外でも逃げてしまわずに、呼べば帰ってくること
を競っているのですから。

羽を切るという行為の裏には、「逃げられたら困る」があるように私は感じています
。そのことに対しての寛容さというのにお国柄というか、文化の違いがあるように思
えます。

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