獣医師広報板ニュース

爬虫類・両棲類・カメ掲示板過去発言No.2000-200503-51

大志を抱け
投稿日 2005年3月9日(水)01時31分 投稿者 はたの

誤記をあえて明示して謝罪なさるの、勇気がお入用でしたことでしょう。敬服しつつ、受け取ります。

 会話を楽しむこととバトルとは矛盾しません。ここにもう来ない、のはご自由ですが、どこへ行っても、真剣に考察している場では、それがインターネット上のサイトであろうと、学会の会場であろうと、懇親会場であろうと、バトルはどこでも当然ということは覚悟しておかなくてはなりません。真剣に取り組むならば必ず、意見の相違は生じ、その相違をめぐる話である限り議論になる、つまりバトルになるのです。テーマに真摯に向かう合う限り、仲良しクラブでは終われないのですよ。
 そのことと、個人的な好悪とは別のハナシです。あるいは、個人的好悪と、意見の異同とは別のハナシです。
 繰り返しになりますが、日本爬虫両生類学会の日本語誌の松井・千石論争を読んでごらんなさい。文中に相手を「畏友」と評していることからもわかるように、憎み合っているわけではありません。しかし、ふさわしい和名の在り方についてのフィロソフィーの相違から、舌鋒するどく相手の非を鳴らす論戦が繰り広げれています。
 言い換えると、仲良しクラブで終わる場は、人間関係を重視し、重視するあまり、対象動物に対する真摯さに欠けるのです。居心地のよさを重視してそこに安住すると、伸びることができません。

 ハリさんはおそらく他者からの圧力にセンシティブな年齢にあられるのでしょう。誰しもそういう時期は持つもので、それ自体を非難しようとは思いません。しかし、ナニカに真摯に対峙しようとする限り、「バトル」はあるものであり、「意見・見解に対する否定的な他者の意見は、アナタの人格に対する攻撃とは異なる」ということを覚えておいていただきたいものですし、なるべく遠くない将来にそれを実装していただきたいとも思います。

 爬虫類はむろんのこと狭い世界ですし、(ハムはともかく)ハリネズミのモモンガの、というのもやはり狭い世界であり、「より良い飼い方」を希求していく限り、同じようにウルサ方の先達にぶつかります。そしてその先達(端的にいえば飼育書の著者など)は、間にどの程度、人が挟まるかはいろいろでしょうが、私も知っている人だったりするでしょう。この手のケデモノ飼育業界というのは、むろんネットで自己満足的な飼育記録を公開している「だけ」のかたなどもありますけれど、コアを辿ってくと相当に狭く、みんなが(間接的なもの含めて)なんとなく知り合いだったりするのです。そしてそうした連中は、程度や表現は別として、根っこのところは、私と同じように、あるいはそれ以上に厳しいものです。バトルを避けてはいては、力がつく環境に入れないのです。
 きちんと勉強して力を付けていくうちにはそうした目に見えない「業界」になんとなーく入れる機会が生じますし、一度とっかかりができると、あるタクサ/タクソンに関する専門情報を提供する代わりに、何については誰に訊けばいい、といった雰囲気がわかってきます。ゴリス先生なんかその偉大なサンプルですね。爬虫両生類は言うまでもなく、チンチラ、チスイコウモリ、場合によっては秋田犬の訓練まで守備範囲に含まれるわけです。
 出たがらない方もいますから、必ずしも市販の雑誌などで著名でなくても、アレについてはアイツに訊け、はあります。
 そうした情報に接しうる立場に立つことは、ひとつのハードルでもあり、他方、安易にコンパニオンアニマルとして消費されるべきでない動物の飼い主として立つべきミニマムな立場でもあるわけです。
 
 おそらくはハリさんがお若いであろうと推測して以下書きますが、生意気なのは大いに結構です。しかし、勘違いしているヒトではなく、生意気で意気のいい若手でありつづけるためには、鼻っ柱の強さとともに、年に割りにたいしたもんだと言われるレベルの知識や技術が要ります。言い換えると、プロパー研究者になる必要はありませんが、プロパー研究者にも一目置かれる存在になる必要があるのです。
 アメリカモモンガなら、商業生産が確立しています。ハムも、まあ、ヨーロッパハムスターとかいわなければ。ハリネズミは微妙ですが、少なくとも一部の種は危機に瀕していませんからヨシとしてもいいでしょう。
 そうした、「消費してもいい」種の飼い主でい続けるのなら、論戦を遠ざけても構いません。
 けれど、爬虫類に限らず、消費の正否が問題となるような動物種に手を出そうとするのなら、厳しいプレッシャーの中に身を投じることになります。「良き」飼育者で在り続けるためには、趣味家を越えて、研究者の世界の端っこに入らざるを得ないのですよ。そこでは厳しい論戦は当たり前になります。それこそが進歩の原動力なのですから。それが楽しいのです。ぞくぞくするように快感です。だれもアナタの人格を攻撃はしません。アナタの意見や見解が攻撃されるのみです。

 突っ込みに対する反発を元気がいいと評したのは別に皮肉ではないのですよ。お若い衆はそのぐらいでなくっちゃね。年配者をムッとさせることもできないようではしょうがありません。その後どうよ? なのです。
 繰り返しになりますが、自ら認めた非については率直に書くことができる勇気も大変喜ばしいものです。

 さて、厳しい議論の世界では、粘着はしません。本人が、言明を撤回すれば、それですむものです。みなが過ちを犯すもの、というのが大前提ですから。
 ましてやこの獣医師広報板は、仲良しクラブに堕ちず、かといってあまり厳しくもなく、
 という、大変に難しい舵取しがなされています。きちんと撤回さえすれば、どなたもイジワルは言わないでしょう。
 たとえば、リサーチした結果、はたのが書いた2005年3月8日(火)17時49分の書き込みのココはおかしいぞ、という指摘でもよいのです。ご自身の「ここには来ません」という宣言に囚われることのありませんよう。
 私も、この文脈では「町内のうるさい年寄り」を演じていますが、場によっては生意気な若造の立場にもなります。
 勉強なさい、と言うと同時に、みんな勉強なくちゃね、とも言います。
 プロキオンさんの書き込みで思い出しましたが、最初にここに書き込んだのは、鳥類精子の凍結保存についての質問でした。たしかレスは付かず、やや寂しかったのを覚えています。が、それもまた、勉強を続けるモチベーションのひとつになりました。
 
 好きなら勉強なさい、機会があればその成果を次世代に還元なさい。頑張って。

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