獣医師広報板ニュース

馬・ロバ・ポニー掲示板過去発言No.2200-200612-72

>NMさんへ
投稿日 2006年8月16日(水)10時36分 投稿者 プロキオン

すみません、投稿に気づくのが遅くなりました。

雌にもてるのは、同じ男性としては喜ばしいことなのですが、すでに去勢してあるので
あれば、「赤ちゃん」は望むべくもありません。愛想をつかされてしまうか、よいお友
達のどちらかになるのではないでしょうか?
願わくは、お友達の方であるとよいですね。

さて、ワクチンの接種部位についてですが、それは、おそらく免疫反応の結果で肉芽腫
が生じているのではないかと想像します。「肉芽腫」というのは、類上皮細胞とか、線
維芽細胞から形成されており、異物や病原体を取り囲んで周囲に波及させないための組
織のことです。構成している細胞達が今述べたような細胞なので、すこし盛り上がった
ようになり、触ると固く感じます。
この肉芽腫を副作用と呼ぶ意見もありますが、ワクチンを製造する側からみると、まっ
たく逆の意見になります。
というのは、免疫を付与する源である病原体(ウイルスや細菌)を時間をかけて少しず
つ動物に感作させていった方が、安全であって、より長く持続させることができるから
です。とくに病原体が殺して製造してある不活化ワクチンの場合は、免疫の持続性の観
点から、わざわざワクチンによって誘発させる炎症を強いものとするために、アジュバ
ンドと呼ばれる物質を添加したりします。

鳩においてはレースの開催のために あちこちから鳩を持ち寄るわけでして、その前段
階として、レースが病気の蔓延の原因とならないように「ニューカッスル病」という病
気のワクチンを接種するように要請されています。
鳩の場合ですと、どうも病原体であるウイルスが生きている「生ワクチン」よりも、ウ
イルスが殺してある「不活化ワクチン」の方が好まれているようで、しばしば接種部位
の腫脹が取りざたされますが、ちょうどNMさんが心配されたのと同じような会話が交
わされることになります。
接種部位を揉んだ方が良いのですかも、よく尋ねられますが、「そこにウイルスを長く
留めておきたいのですから、揉まないで下さい」という返事が返ってきていました。
確かに理屈からいくと、ウイルスと免疫細胞を長く接触させておいた方が結果としては
望ましいのですが、一般人の感覚からいけば、揉みたくなりますよね!

このワクチン接種後の「肉芽腫」は猫や犬でもよく問題になりますが、理屈から言えば
起こるべくしておきているわけですし、また、それだけの理由もあるのです。
免疫を理解していないと「副作用」とか「異常」というように受け取ってしまって、あ
ってはいけないことと受け取ってしまいますが、説明したようにあってもよいことなの
で、あまり心配する必要はないと思いますよ。

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