獣医師広報板ニュース

何でも動物掲示板過去発言No.3900-200612-3

re: 農業高校の山羊
投稿日 2006年2月2日(木)11時47分 投稿者 プロキオン

残念な結果でしたね。

死因については、ネットのこちら側にいる者には、飼育管理していた方が書き込んだ情
報以外に手がかりはありませんので、ちょっと分かりかねます。
家畜としての山羊の場合は、今の時期に分娩してしまうということは、比較的ありがち
なことのようであって、やれ保温、やれ哺乳と飼い主をあわてさせることが、まま、あ
るように聞いています。
今回のことで気にかかったのは、子山羊2頭のうちの1頭は、最初から大きさが小さか
ったのでしょうか、哺乳するとき(母親のお乳を吸う)もキチンと哺乳できていたので
しょうか? 新生児の場合、母親が弱い子を育てようとしないのも、やはり、そこそこ
知られていることです。
母親が若くて育児経験に乏しければ、寒い時期に2頭の子を育てることは、彼女自身に
とっても大変なことなのです。犬や猫においても体温の下がった我が子を、自分の子供
と認識できなくなることはあります。山羊の仲間の生息地を見れば、いずれも相当に厳
しい環境の下におります。生まれた我が子が育つかどうか、育てることができるかどう
かには、人間の感覚よりもシビアのものがあるとも考えられます。

そのような場合であれば、やはり人間が手を貸してあげなくてはならないのですが、哺
乳の量というのは、トータルで判断しないとなりませんが、回数としては私も少ないよ
うに感じました。
また、せっかく飲ませてもこれが消化管の中で変な発酵をしてしまってもいけないわけ
で、保温と排便排尿にもある程度注意している必要があります。哺乳したものが牛用で
あるということは、あまり気にされなくてもよろしいかと思います。別の山羊関連のサ
イトでも母山羊が亡くなってしまって、牛用のミルクを用いるというのは、よく目にし
ます。一応、国産のゴートミルクも市販されていますので、そのURL を下に紹介してお
きます。

高校生ということですから、ピンと来ないかもしえれませんが、妊娠すれば生まれてく
る、生まれれば育つと考えていますが、実際には必ずしもそうではありません。
日本人の平均寿命というものは、世界でも最高水準にありますが、これは決して1人1
人が長く生きるようになったということではありません。
その原因は、乳幼児の死亡率の低下に由来しています。簡単に言えば、80歳まで生き
ることができるはずの人間が2人いて、その片方が生後半年くらいまでに病気や事故で
亡くなれば、平均寿命は40歳となります。戦後の医療の普及や食料増産、生活改善指
導等で乳幼児の死亡率が著しく改善されたことが原動力となっているのです。
貧乏人の子沢山ではないけれども、生まれた子供がみな無事に大人にまで成長できる保
証は、つい何十年か前までは我が国においてもなかったのです。
全員が無事に育つという保証も無く、その寿命も神様があらかじめ定めていて、人間が
自由にできるものという感覚もなかったのです。それで良いというのではなく、子供を
亡くした親達はそういって、お互いに慰めあってきたのです。
# 今現在においても海外に目を向けると、同じことがおきていることが分かります。

亡くなった子山羊は生き返りませんが、その経験を次にむけて活かすことはできます。
農業高校というのは、「学ぶ」ことのできる場所だと私は思います。

http://www.rakuten.co.jp/greendog/116025/278502/

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