獣医師広報板ニュース

何でも動物掲示板過去発言No.3900-200612-8

re: 牛のよだれ
投稿日 2006年3月12日(日)12時26分 投稿者 プロキオン

ricky さん、こんにちわ。

似たような質問が、昨年の4月17日に、たまプラーザさんという方からありましたよ。
タイトルは「牛の舌」です。翌18日に、はたのさんからレスが付いています。
この掲示板の「過去発言一覧」から、見ることができます。

もっとも簡単に言ってしまうと「牛と馬が違うから」になります。さて、同じ草食動物
なのに、どこが違うのでしょう?
草食動物は、本当は草だけでは生きていくことができません。蛋白質が摂取できないと
いうか不足してしまうからです。
では、何故それでも生きていくことができるかと言えば、植物のセルロースを分解して
蛋白源としてくれる微生物(プロトゾア)を体内に飼育しているからです。
食べた草を微生物の力を借りて分解する消化器官が牛であれば「第一胃」ということに
なり、馬では「盲腸」ということになります。
植物を分解する消化器がどこであるかによって、草食動物も「前胃動物」と「後腸動物
」という分け方があります。これが牛と馬の違いです。

牛の場合は、消化器官の前の方で消化することになりますので、唾液の中の消化酵素の
分泌も必然的に多くなりがちで、濃度も濃くなります。
一方、馬の方は、消化器官の相当後ろの方でおこないますので、さほどのものは必要な
いといことになるのでしょう。
もっとも、これは「なりがち」というレベルのものであって、脱水していたり、水を飲
んでいなかったり、というような別のファクターが、それに勝ることもあるように思い
ます。

牛では、小腸や大腸が長いので、時間をかけて消化された栄養を吸収することができる
ので、栄養に無駄がありません。一方、馬では盲腸以降の大腸だけでは栄養が充分に吸
収されずに食べた量に比較して無駄が生じることになります。必然的に多くの量を食べ
るようになるので、昔から、「牛飲馬食」と言われてきたわけです。
では、馬の方が生きていくうえで、不利なのかと言うと、必ずしもそうではありません。
牛の方では、草の質が低下していたり、第一胃内の胃液の量(水分量)等に変動がある
とキチンとした消化が行われません。すぐに消化不良を起こしてしまうわけでして、常
に良質な草を給与してあげる必要があることになります。
逆に、馬では「寒立馬」のように雪の原野においても熊笹のようなものを食べても生き
て行くことが可能です。
それぞれの先祖が、生存戦略として選んだ結果なのです。状況に応じて不利にも有利に
もなるということなのです。唾液のネバネバ度は、その戦略の結果がもたらしたものと
言えるのではないでしょうか。

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