獣医師広報板ニュース

野生と自然掲示板過去発言No.4000-200510-118

最善の方法?
投稿日 2005年9月18日(日)12時21分 投稿者 プロキオン

私も、そんな方法があれば教えて貰いたいところです。
でも、ヨーキーさん、誤解しないでくださいね。決してバカにしたり、
批判しているわけではありません。

普通、このような掲示板に書き込みをされる方は、「傷ついた野生動物
を獣医師になって助けることがすなわち自然保護」という考え方をして
います。
それ自体は、どうのこうのと言う程のことではないのですが、自然の中
では、「死すべき命」も必要であって、「意味のない命」というものも
存在しません。他の動物の命を繋ぐ糧であったり、致死遺伝子を集めて
廃絶するための命であったり、農薬とか重金属とかを集積したり、その
危険を教えるためであったりなのです。
動物の種にとって、その健全性を保つために死すべき命であれば、その
命を助けることは、個体保護ではあっても自然保護にはなりません。

海外のある猛禽の保護施設では、飛ぶことができなくなった鳥は、原則
安楽死処分です。これは、これらの鳥類がひじょうに魅力的な生き物で
あって、卵の時点で巣から盗まれたり、成体でも飼育するための理由を
つけて、個人所有しようとする者が後を絶たないからです。
野生のものは野生に帰すべきということで、「言い訳や言い抜け」を認
めないという信念からなのです。ひとつひとつ理由を聞いていれば、個
人所有を防ぐ事にならないからです。
この施設であれば、野生復帰のためのリハビリと処分が同じくらい重要
なテーマなのです。

東京都が小笠原の山羊を処分しようとした際にも、沖縄でマングースや
野猫を処分しようとした時にも、国内各地から反対の意見が多数寄せら
れました。
単純に「命を絶つな」という意見が誤っているわけではありません。た
だ、「自然保護」あるいは「環境保全」というテーマが、そこにあるの
であれば、取り得る選択肢は限られてくるということなのです。そして
、処分については、命を助けるはずの獣医師が関わらざるを得なくなる
のです。
それは、自然科学者としての考えが優先されるし、手段手法に通じてい
るからですし、なにおより「生」と「死」が身近であるからに他なりま
せん。

ヨーキーさんにおかれましては、「獣医師の立場」というものを朧げな
がらにも理解されているようです。一歩踏み込まれた考えをお持ちにな
っているようです。受験生という立場であれば、その点はいささかなり
とも評価するべきではないかと私は考えます。

医者の世界でも、事件事故で生命の危機にある命を直接救おうとする者
基礎医学の研究を通して将来の1万人10万人の命を救おうとする者、
乳児検診や予防医学で避ける事のできる危機を遠ざけようとする者、そ
れぞれの道があります。
1つひとつの命に関わって、道ばたの石ころを拾っていく作業のような
道を行く者、生態系の保全の為に環境土木を行く者、市民活動の道から
進んで行く者、教員となって明日の力を育成する者、研究者として今あ
る現況を広く知らせる者、どの道も正しいし、どの道は必要ないという
こともありません。
王道は最初からないのです。自分の生き方とか性分に どうような道が
あっているかというだけのことなのでしょう。

獣医師という道が王道ではないようだと気が付いた点は、御立派です。
しかし、まだ最短コースにこだわっていらっしゃるように感じます。別
に最短コースである必要はないんです。
自分で選んだ道であることの方が大切なんです。他人の目や効率とかは
どうでもよいのです。決めるのも、評価するのも自分自身なのです。

もっと、言えば、職業職種にさえこだわる必要はありません。この掲示
板では、眼前の自然、足下の命を、四季のうつろいを大切にしています。
蟻でもコオロギでも、オオイヌフグリであろうと、土筆であうと、四季
の自然の中で生きている命であれば、大切にしていきたいと思っていま
す。
そのような視点に立てば、学生であろうが、主婦であろうが、できるこ
とはあります。
「滅びかけている自然」「絶滅が危惧される動植物」だけしか目に入っ
ていないのであれば、それはまだ「見栄え」にとらわれているのです。
ピラミッドは、頂上の四角錐だけがピラミッドではありません。底辺の
数多くの石があってこそ頂上が支えられています。
どこのどの石に、どのように取り付くかは誰かに教えてもらうことでは
ありません。
ここまで述べてきて、私が「効率」という言葉使うことをお許しいただ
けるのであれば、ピラミッドの石はとても数が多いので、まだ誰もとり
ついていない石を選んでくれれば、「効率良いかも」なのです。

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