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紳士協定      


1947年 アメリカ (GENTLEMAN'S AGREEMENT)
ロマンス

<監督>エリア・カザン
<キャスト> グレゴリー・ペック, ドロシー・マクガイア

<ストーリー>
妻に先立たれ、幼い息子と、老いた母親と3人で暮らす人気ライターのフィル(グレゴリー・ペック)は、雑誌の編集長に招かれて、ニューヨークで仕事をすることになった。新天地での、初仕事として、彼に依頼されたのは、反ユダヤ主義についての記事だった・・・。

<感想>
実は、軽いロマコメかなと思いながら見始めたんですが、とんでもなかったです。
しっかりとした、骨太の社会派映画でした。
でも、その中に、ロマンスも絡めてあるので、ほどよく見やすい、エンターテイメントな作品です。

主人公である雑誌のライターが、記事を書くために、自分はユダヤだと偽って生活し、世間の反応を見ようとしたところ、
思いもかけない反応が返ってきたことから、改めて、人が人を差別することの浅はかさを知り、差別に対抗する・・・という話です。

確かに、自分自身が、その中に身を置いてみて、初めて差別の実情を知る・・・ということは、あるかもしれないです。
この映画のように、親友が被差別者であっても、その本当のつらさなんて、彼にはそれまで、全く理解できていなかったのですから、まさに、差別される身にならないと、何も分からないということです。
そのような、差別を無くすには、差別に荷担しないようにするだけではなく
差別を生み出す土壌=環境に対して、強い態度で、挑んでいかなければ、差別のない世界なんて、絵空事でしかありません。

とはいえ、言うは易しで、周りの視線や態度が気になったり、子どもがいじめられたりと、
相当強い意志を持たないと、なかなか出来ることではないですね。

”反ユダヤ主義”について、当時のアメリカの実情を、まったく知らなかったので、この映画を見て、とても驚きました。
アメリカでの人種差別というと、アフリカ系のことだけだと思いこんでいました。
でも、ユダヤ系に対しても、こんなに根強い人種差別があったなんて!

でも、実は、そういうことは、どこの国にもあるわけで、
一見差別なんて、日頃感じない日本にも、実は、いろいろな差別がいまだに存在しているわけです。

子どものいじめなんかも、”差別”の一種なのではないかしら、とも考えると、
差別化を図らずにいられない人間の性(さが)を感じてしまいます。
でも、それを克服するのも、また、人間なのですよね。

主演は、「アラバマ物語」のグレゴリー・ペック。
古い映画ですが、彼がとってもハンサムなので、古さも気になりません(^^)。

監督のエリア・カザンは、この映画で、アカデミー監督賞を受賞し、
他に、作品賞、セレステ・ホルムの助演女優賞も獲得しました。
白黒の古い映画ですが、一見の価値がありますので、お薦めです(^^)。(2011,09,10)



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