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サルバドールの朝      


2006年 スペイン・フランス

<監督>マヌエル・ウエルガ
<キャスト>ダニエル・ブリュール , レオナルド・スバラグリア

<ストーリー>
1970年代初頭、フランコ独裁政権下のスペイン。反体制運動にのめり込むサルバドール(ダニエル・ブリュール)は、活動資金を得るために、仲間達と銀行強盗にまで手を染めるようになる。徐々に過激になって行く彼らを警察も目を付けるようになり、ついに、サルバドールも、捕まってしまうが、その際、警官を撃って死亡させてしまったために、死刑判決が下される・・・。

<感想>
悲惨なスペイン内戦が終わった後、政権を掌握したのは、フランシスコ・フランコでした。彼は、独裁政権を長期にわたって維持し、70年代初頭には、反体制活動が盛んになっていったそうです。

この映画の主人公、サルバドールも、最初は、興味本位で、そして、若者特有の熱い正義感と自由への渇望によって、徐々に反体制活動へとのめり込んでいったのでした。
自分たちの正義のために、強盗する彼ら。でも、最初は、なんだか面白半分のようで、声明文もまともに読み上げられない始末。若かったから・・・と言えば、それまでなのですが。

強盗をして、人を傷つけてきたサルバドール。もう、義賊として英雄視される時代では、ありません。
まして、警官をひとり殺しているのですから、投獄は当たり前、まして、無罪で、出られることなど、あり得ないと思っていたのですが・・・。

しかし、あの裁判の様子を見ると、不当判決というサルバドール側の主張も分かります。
きちんとした証拠もあったのに、全て却下されてしまうとは、普通の裁判では、考えられないことです。

後半は、死刑判決を受けたサルバドールと、その関係者の表情を追います。

私は、映画の紹介文にもあるように、「ラスト30分、涙が止まらない。」状態でした。
おかげで、すっかり目が腫れてしまいました(^^;。

25歳。あまりにも若いサルバドール。
父親の過去。妹への思い。体制側の反応。看守との関係。
そして・・・。

最後まで、どうなるのか分からず、彼らと共に、見ている私も、苦しい時間を過ごしました。

時間経過と共に、死刑執行道具も組み立てられて・・・。
あのような執行方法もあるのかと思いつつ・・・。

サルバドールを演じたダニエル・ブリュール。彼の主演作、「グッバイ、レーニン!」「ベルリン、僕らの革命」を見ていたので、すっかりドイツの人かと思っていたのですが、スペイン出身だったのですね。
信念のもとに闘ってきた彼だけれど、捕らえられ、死刑判決が出たあとも、残されたわずかな望みにすがる表情が、痛々しかったです。恩赦という制度は、犯罪者にとって、ありがたい制度でしょうけれど、ある意味、残酷な制度でもありますねーーー。(2008,11,15)



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