灼熱の魂　　　　　　 ２０１０年　カナダ・フランス　（INCENDIES） ミステリー・戦争　　　 ＜監督＞ドゥニ・ヴィルヌーヴ ＜キャスト＞ルブナ・アザバル , メリッサ・デゾルモー＝プーラン , レミー・ジラール ＜ストーリー＞ 中東系カナダ人女性ナワル・マルワン（ルブナ・アザバル）が亡くなり、双子の子供たち（メリッサ・デゾルモー＝プーラン、マキシム・ゴーデット）に、謎めいた遺言が残された。それには、二人の、父親と兄を探して、手紙を渡し、それから初めて自分を普通に埋葬するようにと書かれてあった。二人は戸惑いながらも、母親の故郷である、中東の国へと旅立つ・・・。 ＜感想＞ 過酷な運命に翻弄されながらも、自分の信念を最後まで曲げずに、毅然と生きた一人の女性の物語です。 母親の死から、物語は始まりますが、その死も、残された遺言も、すべてが謎めいていて、最初は、戸惑いしかありませんでした。 どうして母親は、普通と違うのか、なぜ、故郷で拒絶されるのか、そして、いったい何が起こったのか？？ 現代と過去とが交錯しながら、徐々に母親の驚くべき半生が明らかになってゆきます。 そこには、果てしなく続く憎しみの連鎖が存在し、それによって、どれだけ多くの人が苦しみ、犠牲になったのでしょうか。 宗教という、人を救うべき存在が、憎しみの原点になっているのは、何とも皮肉でなことです。 それにしても、なんという過酷な人生を彼女は、歩んできたのでしょう。 そして、どんな気持ちで、後半生を生きたのでしょう。 それは、もう、私には、想像することも出来ません。 彼女の遺言は、何も知らなかった子供たち、そして、その父や兄に、大きな衝撃を与え、ひょっとすると、彼らにとって、一生の傷として、残るかもしれない。 それなのに、何故、彼女は、そんな遺言を残したのか、最初、理解できませんでした。 でも彼女は、自らの体験と、恐るべき事実をありのままに書き残すことによって、憎しみの不毛なことを示し、少しでも多くの人が、憎しみの連鎖から解放されることを望んだのだと思います。 ふ〜、重たい映画でしたーーー。 でも、見てよかったです。 この映画を紹介してくれたfumiさん、どうもありがとう（笑）。遅くなってごめんね。