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それでも夜は明ける      


2013年 アメリカ (12 YEARS A SLAVE)
伝記・歴史   

<監督>スティーヴ・マックィーン
<キャスト>キウェテル・イジョフォー , マイケル・ファスベンダー , ベネディクト・カンバーバッチ , ポール・ダノ , ポール・ジアマッティ , ブラッド・ピット , ルピタ・ニョンゴ, ギャレット・ディラハント

<ストーリー>
自由黒人で音楽家のソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、ある日、収入のいい仕事をするためにワシントンに向かう。しかし、彼は、そのまま誘拐され、奴隷市場で売られてしまう・・・。

<感想>
2013年のアカデミー作品賞受賞作です。
人種差別を描いた重そうな作品だったので、すぐには見られず、心の準備をして、やっと見ることが出来ました。

南北戦争の起こる前、実際にあった出来事だそうです。
主人公は、生まれた時からの自由黒人。
・・・あの時代に、そういう黒人が居たことも知りませんでした。
しかし、彼は、誘拐されて、奴隷として、売られてしまうのです。

それまで一度として味わったことのないむち打ちの痛み、そしてその屈辱感に、彼は、どれほど混乱し、苦しんだことでしょう。
彼は、自分の自由黒人としての権利を訴えますが、一度利権が絡んでしまった彼の体には、もはや、奴隷としての価値しかないのでした。
そんな彼は、白人から目の敵のように虐待され続けます。

想像したとおり、重くて苦しい映画でした。
むち打ちの音と悲鳴が耳から離れません。
ですが、これが自由の国アメリカの昔の姿です。
黒人を人間として扱うことのない時代。
改めて、こんな時代があったことが悲しいです。
未だに、差別が完全に無くなったわけでは無いですが、今や映画の中だけだった黒人の大統領が実際に存在しますし、映画界も、黒人が主人公の作品が、ベストテンの中に2〜3割も入ってくる時代です。
まさに、”夜は明ける”時代となったわけです。

この映画で学んだことは、いろいろもありました。
自由黒人という身分。
その彼らに対する白人たちの複雑な思い。
たとえ自由黒人と知っても、大金(200万ぐらい?)で購入した彼を自由にしない白人。
決してして信頼できない他人。
そして、助けに駆けつけてくれた人・・・。

この作品がアカデミー作品賞を受賞したことは、大きな意味がありました。
この辛くて悲しい真実の物語を、アメリカはどんな気持ちで見たのでしょうか。(2015,04,11)



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