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泥の河      


1981年 日本 

<監督>小栗康平
<原作>宮本輝
<キャスト>田村高廣 , 藤田弓子 , 蟹江敬三

<ストーリー>
河岸の食堂の息子、信雄は、ある日、橋の上で、見慣れない少年、喜一と出会った。少年は、河の向こう岸に泊まっている舟の子供だった。誘われて舟に遊びに行くと、舟には喜一の姉、銀子もいて、信雄に優しくしてくれた。その後、信雄と喜一はどんどん親しくなっていくのだが・・・。

<感想>
「もはや戦後ではない」という言葉が使われた昭和31年。でも、今から見ると、まだまだ戦後ですねぇ。
馬が荷物を運び、歌といえば軍歌です。50年前の日本は、こんな感じだったんですね〜。でも、これから8年後には、東京オリンピックですから、この頃の日本の変わり様は、ものすごかったのだろうと、想像できます。

そんな時代に、取り残されたように、みすぼらしい舟が一艘。
大人はみんな、その舟がなんなのか、知っているけれど、子供は、知ることのない、その世界。
そんな、みすぼらしい舟の中の加賀まりこは、まさしく、掃きだめの鶴のような美しさで、まるで彼女の周りだけが、別世界のようでした。それは、おそらく信雄も、同じ衝撃を受けたに違いありません。
でも、その美しい女の人の秘密を知ったとき、信雄は、ひとつ、大人になったのでしょうねぇ。

喜一たちの生活とは、正反対にあるのが、信雄一家。小さいながらも、食堂を営業して、家族揃ったその生活は、喜一には、手の届かない、夢のような生活だったに違いありません。
温かくて、優しくて、愛情いっぱいの父と母。
でも、実は、彼らにも、彼らなりの過去があり、それを引きずって生活しているわけです。
全てが、細やかに描かれている丁寧な作りの映画だと思いました。

個人的には、お祭りに行って、お金を落として、泣く泣く帰った思い出が私にもあるので、あのシーンは、彼らの残念さが胸を突き、辛かったです(T_T)。(2006,08,29)



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