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ノマドランド      


2020年 アメリカ (NOMADLAND)
   

<監督>クロエ・ジャオ
<キャスト>フランシス・マクドーマンド, デヴィッド・ストラザーン

<ストーリー>
ネバダ州の企業に勤めていたファーン(フランシス・マクドーマンド)は、企業がリーマンショックで破綻したため、仕事も住むところも失ってしまう。夫との思い出の詰まったキャンピングカーで車上生活を始めるが・・・。

<感想>
”ノマド”とは、遊牧民の意味だそうですが、この映画に出てくる人達は、実際に動物を”遊牧”して生活しているわけではなく、各地で仕事をしながら転々と移動して生活している人達でした。
言ってみれば、究極の自由人のよう。
その一人で、主人公のファーンは、勤めていた企業が破綻し、その町自体もなくなり、しかたなく、キャンピングカーで、好きな場所に行き、気が向いたら仕事をしている生活です。
一見、自由気ままに旅して、気楽で楽しいようにも思える生活ですが、彼女の生活を見ていると、そうとばかりも言えないことが分かります。

原作は、ジェシカ・ブルーダーの世界的ベストセラー・ノンフィクション『ノマド:漂流する高齢労働者たち』。
この本の題名がこの映画をよく表しているように思います。
若い頃ならば、こうした生活は、自由で希望に溢れ、実験的で、体験を積むにはもってこいのように思いますが、
この映画の彼らのような高齢者であると、むしろ、寂しさや、孤独、そして命の危険性すら感じてしまいました。

人生の終盤、体を駆使して肉体労働をする彼ら・・・いえ、そういう労働をせざるを得ない環境の彼らの将来は、決して安泰とは思えないのでした。
それでも、一箇所に定住するよりも、移動生活を好む彼らには、彼らなりの美学があるようでした。
私には、決して真似できない生活ですが、彼らなりの思いが、それぞれにあるのだろうと思うのです。

主演は、フランシス・マクドーマンド。彼女の自然体な力強さは、見ていて力をもらえます。
デヴィッド・ストラザーンも出演していますが、その他には、実際のノマドの人達が出演していて、とてもリアルなストーリーになっていました。 そして、自然が美しい・・・。(2021,12,11)



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