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ヤコブへの手紙      


2009年 フィンランド (POSTIA PAPPI JAAKOBILLE)
   

<監督>クラウス・ハロ
<キャスト>カーリナ・ハザード, ヘイッキ・ノウシアイネン

<ストーリー>
服役12年目に、恩赦により、出獄したレイラ(カーリナ・ハザード)は、ヤコブ牧師(ヘイッキ・ノウシアイネン)の元で、働くことになった。ヤコブ牧師は、盲目で、レイラは、彼の元に届けられた手紙を読み、返事を書く仕事をすることになった。しかし、レイラには、全くやる気がない・・・。

<感想>
盲目で、年老いたヤコブ牧師の住む牧師館に、元終身刑の女、レイラが、やってきた・・・。
ヨボヨボのヤコブ牧師に対して、体格がよく、投げやりなレイラ。
いったいこれから何が起こるのか??

映画に登場するのは、ヤコブ牧師と、レイラ、そして、たまに登場する郵便配達人。ほぼ、この3人だけです。
セリフは最小限。
淡々と物語が進行します。
でも、所々に、ユーモラスなシーンや、会話もあったりして、決して飽きることはありません。
それどころか、セリフの少ない分、彼らのちょっとした動作が、大きな意味を持ってくることもあり、細心の注意を払いつつ鑑賞しました。

牧師が主人公なので、信仰の話になってくるのですが、しかし、それは決して押しつけがましくはなく、神に関心のない者でも、静かに心に沁みてくる・・・そんな話でした。

清貧を絵に描いたようなヤコブ牧師の生活。
神に見守られていると心から信じている彼にも、いつしか試練の時が来ます。
そんな時でも、彼は、静かに全てを受け入れ、
そして、そんな彼の姿を目にして、いつしか、レイラの心もひらかれてゆく・・・。

静かだけれども、緩やかな感動の波が、心に、そっと打ち寄せてくるような映画でした。

フィンランド映画なので、出演者も、知らない人ばかり。
でも、皆さん、適材適所で、すばらしかったですし、キャストによる先入観もなく見ることができたので、かえって、先が読めず、新鮮で、良かったです。
特に、ヤコブ牧師役のヘイッキ・ノウシアイネンが、印象的です。
何も見返りを求めないその姿は、慈愛あふれる牧師そのものです。
また、自分が、老いさばらえ、人から忘れられた存在なのかと苦しむ姿も、切なかったです。(2012,02,15)



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