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ラーゲリより愛を込めて      


2022年 日本
戦争    

<監督>瀬々敬久
<キャスト>二宮和也, 北川景子, 松坂桃李, 寺尾聰, 金井勇太, 渡辺真起子

<ストーリー>
第二次世界大戦後、シベリアのラーゲリ(強制収容所)に抑留された山本幡男(二宮和也)は、厳しい状況にある捕虜仲間達と共に、日本に帰る日を思い、懸命に生きていたが・・・。

<感想>
シベリア抑留兵士だった日本人、山本幡男さんの実話だそうです。

ラーゲリとは、ソビエト連邦における強制収容所のこと。
満州で終戦を迎えた主人公の山本幡男は、ソ連軍に捕らえられ、シベリアに抑留され、その地で、他の日本人捕虜達と共に、厳しい捕虜生活を送るのでした。

シベリア抑留兵士達の苦労話は、色々聞いたことがありましたが、零下20度以下になるという過酷な状況で、多くの人が日本への思いを残しながら亡くなったんだろうなと胸が痛みます。
そんな中、人間としての尊厳を保ち、仲間を勇気づけながら生きた山本さん。
ラストは、こうなるのだろうと薄々思いながら見ていましたが、その後に、さらなる感動があったとは・・・。

山本さんの人柄や人間性、そして、そんな彼に思いを寄せていた人々の感動の物語なのでした。
こんな厳しい状況で、山本さんのような神のような人間が存在していたとは、まるでフィクションのようも感じられてしまいますが、戦前、戦中の日本人ならば、彼のような人物がいたとしても、それもあり得るかなと思うのでした。
ただ、大半の人間は、松田のようであったり、相沢のようであったり、また原のような行動をとったのではないかと思います。
でも、それは、決して責められるものではなく、人間は、自分や家族を守るために、そのような行動を取っても仕方ないと思うのでした。
その点において、山本さんは、卓越した素晴らしい人間性をお持ちだったのだろうと思います。

全編を通して過酷な捕虜生活が描かれていましたが、思っていたよりも服装もしっかりしていて、あまりシベリアの寒さを感じることがなかったように思いました。
やはり、捕虜とは言え、ロシアにとっては、大事な労働力だったわけで、”使い捨て”のような扱いではなかったのかもしれません。
それでも、過酷な捕虜生活で、多くの人が亡くなり、その家族にとっても辛く悲しい状況であったことは、想像に難くありません。

主演の二宮和也は、こういう、飄々としながらも信念を持った人の役をやらせるとはまります。
彼の落ち着いた、そして優しい眼差しが、忘れられません。
そして、このような厳しい状況を描いた映画の中で、北川景子の凜とした美しさに心癒やされました。

”泣く映画”と聞かされて、覚悟して観に行きましたが、想像通り時々息が苦しくなるぐらい泣いてきました。
こういう時、マスクをしていると便利なような、面倒なような・・・ですね。(2022,12,10)






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