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「愛の領分」  藤田宜永 2002.02.28







男は妻に先立たれていた。
女は不倫相手の自殺を経験していた。
混沌としたこの世で、孤独な日々を送る男と女が偶然出会う。
ほのかな恋心が、2人の日常に微かな彩りを添えていくのだが……。
大人の愛情模様を描いた待望の恋愛長編。(ダ・ヴィンチより)



第125回直木賞受賞作です。

「愛には、領分がある」
・・・いくら立派なものでも、着物に合わない帯がある。帯に合わない着物がある・・・

いくら愛していても、領分を超えた愛は絶対に叶うことがない。
そんなこともあるかもなぁと思いながら読みました。
妻を亡くし、一人息子のことで悩みを抱える50代の男と、
不倫相手に自殺された女、佳世との恋愛。
佳世が、渡辺潤一の小説に出てくるような、”男の思う理想の女性”でないところが、
わたし的には、評価できました。
美保子は・・・こんな心理は、理解しがたい・・・(^^;。
やっぱり、この作家は、女性心理よりも、男性心理描写が長けているように思います。
淳蔵の描き方は、丁寧で、よく書けていました。
特に、彼の職業の仕立屋の部分は、なかなか面白かったです。
でも、これが、直木賞?っていう気もしたりするのですが・・・(^^;。