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「あかね空」   
山本一力  02.11.05




希望を胸に上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。
味覚の違いに悩みながらも恋女房に助けられ表通りに店を構えるが…。
永吉一家二代の有為転変に、かけがえのない家族の絆を描く、書き下ろし時代長篇。
(「MARC」データベースより)


第126回直木賞受賞作です。
時代小説は、読みにくくて、好きな作家さんの物でも、敬遠気味なのですが、これは、すんなり読めました。

故あって京都から江戸に出てきて、一から豆腐屋を始める永吉。彼を明るく助けるおふみ。
この二人が、どうなっていくのか楽しみでわくわくしました。それと同時に、お豆腐が食べたくなったのも、自然の摂理という物でしょう(^^)。

ただ、この物語は、決して幸せなまま終わらないのです。
あんなに仲のよい二人でもちょっとしたきっかけでケンカばかりの夫婦になるし、親が大事にしている子供でも、それを重荷に感じてしまう子供もいる。いろいろと考えさせられることの多い話でした。
何より、あんなに明るかったおふみの変貌に、哀れを感じてしまいます。

ただ、話が広がりすぎて、故人の遺志が成就しなかったりするのですが、人生って、そんな物ですよね〜。