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「最後の記憶」   
綾辻行人   02.11.29


目覚めている間も眠りの中の夢でも、思い出せるのはただ一つの記憶だけ・・・。
若年性の痴呆症を患い、ほとんど全ての記憶を失いつつある母・千鶴。
彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけだった。
バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供達・・・。
死に瀕した母を今もなお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?
本格ホラーの恐怖と本格ミステリの驚き・・・両者の妙なる融合を果たした、綾辻行人・七年ぶりの長編小説。
待望の刊行!(帯より)


本当に、待望の刊行でした!!!なんと七年ぶりなんですね〜〜〜〜。
しかも、ホラーだったとは、読み終わって、解説を読んでから初めて認知しました(^^;。
彼の脱本格ミステリー作品ですね。

この本のテーマは、痴呆症、特に、若年性痴呆という、突然におそってくる病気への恐怖です。この恐怖によって、主人公が心理的に徐々に追いつめられてゆくところは、息詰まる思いで読みました。まだ、解明されていないことの多い脳の病気だけに、誰にでもその可能性はあるかもしれないわけで、読みながら恐ろしかったです。特に、この主人公のように、その可能性が50%だったとしたら・・・、我が身に置き換えて恐怖いたしました。

結末は、私が読みながら想像していた事とは、少々違ったのですが(^^;、なるほど、そう繋がってゆくのかと、感心させられました。やはり、ミステリーですよね〜〜(^^)。
ただ、ラストが、必要以上に長かったのと、すっきりしない箇所もあったりで、少々不完全燃焼気味かな。

とにもかくにも、久しぶりの作品、堪能いたしました。綾辻様、次作、お待ちしています!(^^)