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「狂王の庭」   
小池真理子   03.01.31

    

「僕があなたに恋をしていること、あなたにはわからないのですか」
昭和27年、東京都下国分寺。
5月の温かな夜、着飾った人々が集う優雅な夜会。
華麗な西洋庭園。
平穏な結婚生活を営む夫。
おとなしく清純な妹。
そして妹の婚約者・・・
彼は雨の夜、切羽詰まったように、まっしぐらに突き進んできた。
ためらいながらも、孤独な男に強く惹かれ、堅牢な女のこころは崩れ始める・・・。
(帯より)



めくるめく禁断の愛ーーー。古典的、刹那的、そして究極の恋愛小説です。
実は題名から、中世ヨーロッパの話だと思って読み始めたら、昭和27年の日本の話でした。題名がちょっとそぐわないかとはじめ思いましたが、青爾を見ていると、狂王そのままのような気もします。
それにしてもこの切なさはどうでしょう。禁断の恋だからこその燃え上がるような情念。制限され、隠さなくてはならないからこその快楽。読んでいて、まるで自分が杳子になって青爾と恋に落ちているかのように頭がクラクラしてしまいました(^^;
このように、自分が主人公になりきれるのが小説のいいところで、きっと映画やドラマなどの映像にしたら、きっと恥ずかしくて見てられないでしょうね(^^;
「僕があなたに恋をしていること、あなたにはわからないのですか」「いいえ、もちろんわかっててよ」な〜んてこと、言われたり言ったりしてみたかったりして(^^)。

著者の小池真理子さんのことを、少し前までミステリー作家だと認識していたのですが、最近は、恋愛小説を書かせたら当代一の作家さんになってきましたね〜
私は、ミステリーも好きだけど、こういう恋愛小説も好きなことを発見しました(^^)
今度は、菊池寛の真珠夫人でも読んでみようかな(^^)