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「研修医純情物語」   
川渕圭一   03.02.13

    


脱サラ研修医の青春とは何だ!医者とは何だ!
パチプロ、サラリーマンを経て37歳で研修医になった「僕」が大学病院で目の当たりにしたものは・・・。
過酷な研修の日々に疲れ、怒り、嘆きながらも、患者に励まされ、
「なんとかなるさ」と明るく明日へ向かう、遅れてきた研修医の病棟青春記。 (帯より)



題名からも分かるように、著者は医師です。そして、これは、医師になりたての研修医時代の生活を振り返り、その時に感じた様々な思いを綴った本です。

なんとまあ、研修医とは、大変な職業なんでしょう。
医師国家試験を合格した、資格的には立派な医師ではあるけれど、経験も知識もまだ未熟な、いわば医師の幼虫?状態の研修医。
彼らは、医師成り立てのほやほや、まだ湯気の出ている状態の時から、担当患者を任せられます。
そして、震える手!で、採血(^^;や、点滴の処置をするのです(^^;(^^;。
もちろん、これは、どんな立派な医者でも、初めはみんな新米なんだからしょうがないです。
そして、毎日の勉強会や、カンファレンス。それらも、研修医がたくさんの知識を取得するためには必要不可欠なことなんでしょう。
でも、そのために、毎日の激務とそれによる睡眠不足。ただでも、経験不足な研修医なのに、そんな状態で、診察や、治療の決定をして欲しくないって言うのが、私たち患者側の本音です。

私も、肉親の入院のために何回か病院に行ったことがあります。
その時、たいてい、担当医師の方にお会い出来ないのは、こういうことだったのですね。
肉親としては、毎日の病気の経過を担当医師から、その都度聞きたいのです。どんな検査をして、それが、どんな結果だったか。これからどのような治療をしてゆくのか。今日の調子は、どうなのか。よくなっているのか、悪くなっているのか。聞きたいことばかりなのに・・・。
せめて、よその病院との掛け持ちをするアルバイトは、やめてください。

医師になるために小さい頃から、苛烈な受験勉強を経て来たような人には感じられないようなことを、色々な人生経験を経てきたから著者だからこそ、このように(普通に)感じることが出来たんだと思います。
今も、自分のペースで人生を歩んでいるらしい著者ですが、医師としてのたくさんの経験を重ねて、私たちに、信頼と、安心を与えてくれる”お医者さん”になってください。そして、この本に書かれた疑問や反発を、いつまでも忘れないでいてくださいね。

・・・病気になっても、やっぱり、大学病院はやめておこうかな・・・。