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「リトル・バイ・リトル」    
島本 理生  



    
高校生作家の芥川賞候補作
少しずつ、少しずつ、歩いていこう。
楽しいことも悲しいことも、
みんな大切な家族の時間とひらかれてゆく青春の息吹。


読みたいと思ったのは、高校生作家の芥川賞候補作だから。でも、読んでいる時は、そんなことは、考えないようにしました。

母親と、異父妹との3人暮らしのふみ。彼女の日常を淡々と描いています。
「淡々と」といっても、彼女の日常は、普通の10代の子よりも複雑で、且つ難しい。
母親は、二人目の夫と別れたばかりで、さらに、職もなくして、経済的に非常に苦しい。
ふみも、大学進学をあきらめて、アルバイトする日々。
それでも、彼女には、ひょんな事から、周というボーイフレンドが出来て、ちょっと心の暖まる日を送っている・・・。

著者は、あとがきで、「明るい小説にしようと、最初から最後までそれだけを考えていた。」と書いているけれど、それほど明るくも感じられなかったです。まあ、このような困難な状況においては、これでも、非常に明るい小説なのかもしれませんが・・・。

文章は読みやすくて、すぐに読めてしまいました。
でも、読んだあとに、あまり印象の残らない本でした。 (2003.11.24)