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「星々の舟」    
村山由佳  



第129回直木賞受賞
禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、
居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いてーー
愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語 (帯より)




6編からなる家族それぞれの苦悩の物語です。
読み始めは、そんなこと知らなかったですから、禁断の愛の物語が続くのかと思っていました。
そしたらそしたら、続々と家族の苦悩があからさまになってくるので、びっくり!
この家族のように、複雑な人間関係があったとしたら、大変だなぁと思いつつ、時には、胸をつまらせ、時には、痛みを感じながら読んでゆきました。

人は生きてゆく上で、色々な後悔や、苦悩を背負ってゆかなくてはなりません。そして、それらに押しつぶされないよう、自分に折り合いをつけて生きてゆく、それが人生なんだなぁと、読み終わって、ちょっと老成してしまいました(^^)。

村山由佳さんと言えば、デビュー作の「天使の卵」しか読んでいないので、そのイメージを持ち続けていた私は、お父さんの戦争体験まで書かれているこの作品には、正直驚きました。 でも、もちろん、作家も作品と共に、成長してゆくのですよね。 (2004.05.16)