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「夜は満ちる」
小池 真理子  




愛人の妻の葬儀に向かう女、
誰かに見られている気配を拭えない女、
父の愛人の家で風呂につかる女。
妬み、嫉み、憎しみ、劣情、欺瞞、恐怖と、剥き出しの感情を露わにした女たちが、
日常にぽっかりと開いた闇の陥穽に捉われる瞬間を、
夢うつつの美世界のなかに綴った、極上の幻想譚。 (表紙見返しより)




「やまざくら」「縁 えにし」「坂の上の家」「夜は満ちる」「イツカ逢エル・・・」「蛍の場所」「康平の背中」の七編が収録された短編集です。

読み始めてからしばらくは、いつもの小池真理子さんのエロティック小説なのかと思っていました。そしたら、そしたら・・・。
結構驚きましたねぇ。そう来たかって感じです。もちろんうれしい驚きですよ。私は、小池さんの恋愛小説よりも、ホラーとか、推理小説の方が、数倍好きですから。

そんなわけで、一番強烈だったのは、最初の短編「やまざくら」です。あとは、もうそういう短編集だと思って読んでいるので、最初の人物設定で、ああ、これは、こうだなと分かったしまったので、ちょっと残念でしたねぇ。読むたびにいちいち驚きたかったわ〜〜(^^)。

「坂の上の家」は、TV「世にも奇妙な物語」で、映像化して欲しいなとか思いました。結構面白かったです。でも、こういう発想って、小さいときにしていたような、そんな懐かしさも感じました。
「蛍の場所」は、もうラストが分かっているのに、どうしようもない怖さを感じながらも、頭の中では、美しい蛍の情景が浮かんできました。

女の愛情の行き着く先の悲しさが切々と伝わってくるエロティックホラー短編集です。 (2005.02.27)