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「亡国のイージス」
福井 晴敏  





自らの掟に従い、15歳で父親を手にかけた少年。一人息子を国家に惨殺され、それまでの人生をなげうち鬼となった男。祖国に絶望して叛逆の牙をむく、孤独な北朝鮮工作員。男たちの底深い情念が最新のシステム護衛艦を暴走させ、一億二千万の民を擁する国家がなす術もなく立ちつくす。圧倒的筆力が描き出す、慟哭する魂の航路。 (「BOOK」データベースより)




先日読んだ「6ステイン」がすごく面白かったので、同じく、福井晴敏さんのこの作品を読んでみました。近々映画化されるそうので、その先取りの意味も、もちろんあります。
ただこれが、2段組650ページを超す大作で、本を見たとたん、果たして読みきれるのか??と、非常に不安でしたねぇ(^^;。

でも、福井さんの本だけあって、読み始めると、ぐんぐんと読みすすむことができましたが、いかんせん、出てくる用語が、ちんぷんかんぷん(^^;。
というのも、自衛隊の護衛艦が舞台の話なのでした。
そういうわけで、四苦八苦した前半でしたが、面白いのも事実。亡国の意味。イージスの意味。全てが新鮮でした。
二転三転する見事なストーリーにも、とても引きつけられました。 そして、クライマックスの後半、これは、もう、読むのが止まらないぐらいの面白さ。本が分厚いだけに、登場人物の数も半端ではないのですが、それぞれに、感情移入し、そして、そんな彼らの最期に、何回も呆然としてしまいました。
ラストは、涙涙です。

ただ、やはり、艦長、宮津の動機の弱さが、最後まで気になったのは、残念でした。これだけのことをしたのに、彼のこの迷いは、何だったんでしょう。それに、この動機で、これだけの人々が、彼について行くのでしょうか。
宮津と、ホ・ヨンファとのこの意識の違いは、そのまま、それぞれの国の立場の違いなのでしょうね。ヨンファには、追いつめられているからこその強さがあるのだと思いました。
「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」。戦争なんて、イラクに派遣されている自衛隊以外は、実感できないのが日本の現状です。でも、それも、幸せなことなんですけどねーー。 この2人の対比が後半はうまく描かれていて、面白かったです。

反日問題、領土問題などが大きな話題になっているこの時期に、この本を読んで、いろいろ考えさせられました。国防とは、外交とは、そして、自衛隊とは・・・。
大きな流れを変えるには、いったいどうしたらいいのでしょう。目先のことだけを考えてきた日本という国は、いったいこれからどうなっていくんでしょう。

さて、映画化が進んでいるそうですが、いったい配役は、どうなるのでしょうか。如月行を、誰が演じるのか、楽しみです。私としては、岡田准一なんかを押したいところですが・・・(^^)。
先に読んでしまった「6ステイン」をもう一度、読みたくなりましたねぇ。それとも、やっぱり「ローレライ」かしら・・・。昔読んだ、「Twelve Y.O」も読み直した方がいいかな・・・。(2005.04.21)