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「いつかパラソルの下で」
森 絵都  





裏切れらた気がした。
でも本当は、
私が先に父を裏切ったのだ。(帯より)



厳格すぎた父親が亡くなって1年。その潔癖だった父が、死の直前、若い女と浮気していた・・・。その事実を知って、3人の子供たちは、大いに驚き、うろたえるのだった。
こんな常軌を逸した厳格な父を持ったら、子供はやりきれないですね。もちろん、この3兄妹のように、逃げ出したり、もしくは、波風を立てないよう、従順に生きるしか彼らの生きる道はないはずです。
そして、その父の影響下から逃れ、大人になって、自分自身のあらゆる欠陥がその父親の影響によるものだと責任転嫁してしまう気持ちも、当然わかります。
そうなると、どこまでが、親の責任で、どこまでが、本当の自分の責任なのか。その線引きは、とても難しいことですねぇ。
そう言う意味で、彼らの取った、自分のルーツをたどる旅って言うのは、とても有効だったと思います。それによって、父と向き合い、自分自身とも向き合えますから。
一周忌を目前に控えて起こった様々なことにより、皆の人生がよい方向に向かって良かったです。
ちょっと泣いてしまいました。(2005.10.13)