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「サウスバウンド」
奥田英朗  





直木賞受賞第一作
お待たせしました。
2年ぶり、奥田英朗の長編新作です。
おもしろい小説、ここにあります!(帯より)



前半と後半で、がらっと話の舞台が変わります。
前半は東京で、まあ、幸せに暮らしていた小学生の二郎が、ひょんな事から不良に目を付けられて、世界が暗転してしまうほどの悩みを抱えてしまう話です。
大人は、すぐに、先生や親に相談しろと言うけれど、それが何の役にも立たなくて、むしろ逆効果だと悩む二郎がリアルで、私も、一緒に胸を痛めて読み進みました。
今の小中学生は、学校の外も危険だし、学校の中でも、こういう悩みがあるというのが、なんだか可哀相ですね〜。
そして、そんな、にっちもさっちもいかないような状況から、どうしたら、上手い具合に逃げられるのかなと、興味を持って読んでいけば、元過激派の父親がらみで、解決してしまったので、やっぱり普通の子には、応用できない手法でした(^^;。そういう手段のない子は、いったいどうしたらいいんでしょうねぇ・・・。

後半は、二郎のそんな悩みは、すっきりと解消するのですが、その代わり、またまた、過激な父親に大いに悩まされることになります。
しかし、二郎のお母さんは、さすがに、お父さんと結婚するだけの根性を持っているだけあって、立派ですね〜。私には、とうていあんな生活は無理!(^^)。
でも、そんな究極の状況に置かれたら、どうになかってしまうのかもしれないですね。
なにより、島の人々の助け合いの精神と、温暖な気候、そして、自身が持っている夢の存在が、彼らの味方です。
本当に、人間は、欲張りさえしなければ、法律も武器もいらないのかもしれませんね。

このようにストーリーは、なかなか過激で、ラストなんて、どう収拾するのかとドキドキしましたが、奥田氏の軽妙で暖かい文章が心地よくて、ぐいぐいと読み進むことが出来ました。 (2006.01.06)