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「ゴッホ殺人事件」 上・下
高橋克彦  



「名画」に隠された秘密
貸金庫に遺された謎のリスト。
ゴッホ研究者たちが追う
喪われた名作とは。
待望の<名画ミステリー>シリーズ(帯より)



上下巻の大作ですが、見事な作品でした。
「ダ・ヴィンチ・コード」「夜の色」「干潟の光のなかで」と、最近、絵画にまつわるサスペンス物を読む機会が多いのですが、どれも、皆面白い!それは、歴史の中に埋没した真実を知る知的好奇心が、刺激されるせいなのでしょうね〜〜。

この作品は、サスペンスの出来もさることながら、絵画に関しての下調べが、すごいです。もうこれは、調べる段階を遙かに超え、研究と言っても差し支えがないような調査ですね〜。

いまや、ゴッホの画家としての名声は、世界中の人々に知られていますが、生前は、たった1枚の絵しか売れなかったそうです。ゴッホの弟テオは、有名な画商で、多くの実力ある画家を見いだし、育てていたというのに・・・。

ゴッホの名前と、有名な作品数枚を知っているだけの私には、この本に書かれたゴッホの真実の姿は、まさに驚きの連続。しかもそれが、ゴッホの晩年の様子、その後の名声、そして、ナチス、ヒトラーの政策まで、ゴッホ初心者の私にも分かりやすく書かれていて、とても読みやすいのです。

上巻では、彼の死にまつわる驚くべき真実と、世紀の大発見が明かされます。
下巻に入って、真相が徐々に暴かれてゆくわけですが、長編であるにもかかわらず、読んでいても飽きることなくゴッホの世界に引き込まれてしまいました。 (2006.02.07)