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「容疑者Xの献身」
東野圭吾  






運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。 (帯より)



なにやら、やたらと天才数学者の本や映画が多いですね〜、最近。
今まで、数学者の世界なんて、あまり陽が当たらなかった気がするので、なおさらそう思うのでしょうか。

この本は、「探偵ガリレオ」「予知夢」の湯川学シリーズの1冊です。そして、見事、直木賞も獲得されました!おめでとうございます!!

今回は、湯川先生の他に、もう一人、天才が登場します。
それは、湯川と、草薙刑事の大学の同級生で、高校の数学の教師、そして、天才数学者の石神です。
この物語は、彼の純愛の物語です。

最初のうちは、彼が、どういう人で、何を考えているのか、どうしてあんな事をしたのかが、さっぱり分かりませんでした。
読み進むうちに、彼の彼女への思い、そして湯川との場面によって、彼の数学者としての才能のすごさが分かってきます。
また、あれっ??と、思うところもあり、最初に戻って読み直したり・・・。
そんな試行錯誤を繰り返しながら、読み進んでゆきました。
いつもひとひねりある著者の本ですが、今回も、まさに見事にひねりのきいた、そして、考えさせられる結末が待ち受けていました。

完璧の上に更に完璧に作り上げられたかに見えた石神のトリック。しかし、私は彼が、決定的なミスをしたのだと思います。それは、人の気持ちを全く考慮していないということ。完璧に作り上げた数式は、心が、すっぽりと抜け落ちていたのではないでしょうか。
ラスト、それを想像だにできなかった石神の、最初で最後の純愛に、思わず、涙がどっと溢れてしまいました(T_T)。(2006.03.22)