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「影踏み」
横山秀夫  



十五年前のあの日、
男は法を捨てた。
一人の女性をめぐり
業火に消えた双子の弟。残された兄。
三つの魂が絡み合う
哀切のハード・サスペンスーー。(「MARC」データベースより)



双子の兄弟がちょっと変わった形で出てきます。
双子というのは、不思議な存在で、離れていても、同じ痛みを感じたり、同じような人を好きになったりするそうですね。
この小説は、そんな双子の不思議な心をバックボーンに、様々な犯罪にまつわる人の心を描いています。

七つの章に別れてはいますが、それぞれが独立しているわけではなく、少しずつ繋がった物語になっていて、それが、ちょっと変わっていて、面白かったです。
また、主人公が通称「ノビカベ」と呼ばれる窃盗犯なので、その手の犯罪者と、警察との攻防もあったりして、裏社会を垣間見るようで、面白くもあり、ぞっとしたりもしました。

残念ながら私は、主人公の真壁と、その双子の弟、啓二との一風変わったやりとりが、ちょっと受け入れがたく、あまり、小説の中に入り込めませんでした。
それに、一話目の話にも、あれだけのことで推理するには少々無理があるように感じました。 (2006.07.21)