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「真夜中の神話」
  真保裕一


薬学の研究に没頭した挙げ句、夫と娘を失った栂原晃子は、新たなテーマを求めてインドネシアに向かうが、飛行機墜落事故に巻き込まれる。だが奇跡的に助かった晃子は、山奥の村で神秘的な歌声を持つ少女と出会い、驚異的に快復した。一方、町では猟奇的な殺人事件が発生していたーー。伝説と神話に彩られたスペクタクル巨編。 (裏表紙より)


真保さんの作品は、いつも、綿密な考証を重ねた上で成り立っていると感じています。
この作品も、まさにそうでした。
上っ面だけをなぞるだけの小説ではなく、イルカをはじめとするアニマルセラピーについて、ドラキュラについて、そしてインドネシアの宗教、軍事、警察についてが、とても詳しく書かれていて、読んでいて自然と納得できるようになっています。

その上、推理小説としても面白さも、アクション作品としてのハラハラ感も兼ね備えていて、まさに、エンターテイメント作品です。
これは映画化してもいいですね〜。アメリカでお金を掛けて制作して欲しい気がします。もちろん、メインキャストは日本人で。そうですね、松嶋菜々子と阿部寛なんかどうでしょうかね(^^)。

ラストは、癒しとともに、晴れ晴れとした気分になるところも私好みでした。

日本には、「古事記」に記されているように、八百万の神(やおろずのかみ)がいると言われていますが、そういう考え方は、珍しいのかもしれませんねぇ。
私自身は、神の存在を真剣に考えることは、ほとんどないですが、その存在を信じる人にとっては、奇蹟を起こすのは、神であり、また、その逆でもあるのかも知れません。 (2008,02,18)