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「鼓笛隊の襲来」
三崎亜記  






戦後最大規模の鼓笛隊が襲い来る夜を、義母と過ごすことになった園子の一家。避難もせず、防音スタジオも持たないが、果たして無事にのりきることができるのかーーー (帯より)



「となり町戦争」「失われた町」の三崎亜記の最新短編集です。
「となり町戦争」でも、そのユニークな発想にだいぶ驚かされましたが、今回の短編集でも、ひときわ、その才能が光っています。
ちょっと考えも付かないようなことを思いついてしまうこの才能は、すばらしいですね〜〜!(^^)。
特に目を引いたのが、表題作の「鼓笛隊の襲来」、「象さんのすべり台のある街」そして唯一書き下ろしの「同じ夜空を見上げて」です。


「鼓笛隊の襲来」
どういうところから、この発想が出てくるんでしょう。でも、読んでいると、なるほど、鼓笛隊の襲来だなぁと思ってしまうところがすごい。どうなるんだろうと、ちょっとドキドキしました(^^)。


「彼女の痕跡展」
ちょっと不気味だけど、なんだか切ないお話でした。


「象さんのすべり台のある街」
これ、大好きです。象さんの滑り台が、もしそうだったら?!とっても夢があるようで、とっても悲しい話だったりして。現実問題としては、ちょっと怖いかも・・・(^^;。


「「欠陥」住宅」
これも怖いですねーーー。いったいどこに行ってしまったんでしょう。”生きている”ってことかしら。


「遠距離・恋愛」
これは、オチが物足りなかったです。もっと、なにか、悲しい?怖い?事が起きるのかと期待?してしまいました。


「同じ夜空を見上げて」
悲しくて、切ないです。電車の中で読んでいたのに、思わず、泣きそうになりました。


他に、3編、計9編の短編でした。
三崎亜記さんは、長編よりも、短編の方が、シャープにまとまっていて、面白いです。 (2008,05,03)